個人資産800億円超「伝説の投資家」と比肩したトップアナリストがここだけに語る「相場の世界で成功する男の生き方」
アナリストの格付けで日本一になった男
日経平均株価4万円超え、軌道に乗った新NISA、岸田文雄政権の資産所得倍増計画といった投資環境に加え、2005年発表の最後の長者番付で全国トップとなった「伝説の投資家」である清原達郎氏が、初めて株投資の極意を伝授したことで話題となった『わが投資術 市場は誰に微笑むか』が、17万部を突破するベストセラーとなった。 【写真】「伝説の日本人投資家」が明かした「200万円持っていたら何に投資するか」 経済誌や週刊誌、若者向けや女性誌などが清原氏のメールインタビュー(喉頭がんで声帯を失っている)を掲載し、著書と合わせその手法は伝わり始めたが、肉声ではないだけに人物像がよく見えず、プロから見た「清原式」の評価も伝えられていない。 清原氏が公開した投資ノウハウは多岐に亘るが、基幹ファンドの「タワーK1ファンド」が実践してきたのは、小型株へのバリュー投資、つまり割安で放置されている成長期待株投資である。清原氏の強みは小型株の“目利き”にあるが、同じ小型株に強いアナリストとして、米アナリスト格付け会社「スターマイン」の05年発表のランキングトップに輝いたのが、日興シティーグループ証券に所属していた津田武寛氏(70)である。 清原氏と津田氏が、ともに05年発表でトップになったのは偶然ではない。この頃、清原氏は98年のファンド立ち上げ当初から続けてきた小型株へのバリュー投資が実り、津田氏は推奨した中小型株の値動きが活発で運用益が大きく、日本の評価対象アナリスト約500人のトップに立った。 小型株で結ばれた2人は、対象となる企業の成長を占うという共通項がある。ファンドマネージャーは投資対象として、アナリストは予測対象として――。 津田氏に「投資家・清原達郎」の実像と、「『わが投資術』の読み方」を聞いた。
「割安でいぶし銀のような企業はありませんかね」
――清原さんとの出会いはいつ頃で、どのような印象だったでしょうか。 「初めてお会いしたのは、彼がスパークス投資顧問のファンドマネージャーだった1997年のことです。私は小型株アナリストとして小型成長株の注目銘柄についてお話ししましたが、清原さんは興味を示さなかった。 その代わり彼は、『津田さん、割安株でいぶし銀のような企業はありませんかね』と聞いてきたんです。割安に放置された株のバリュー投資を行なうというわけです。バリュー投資は流動性の高い大型株でやるのが普通です。『面白い人もいるもんだ』というのが正直な印象でした」 投資手法は利益や売上高が順調に伸びている成長株投資か、低PER(株価収益率)、低PBR(株価純資産倍率)に放置されている株へのバリュー投資に大別される。小型株は勢いよく伸びている会社への成長株投資が普通で、逆にバリュ-投資は大型株で行なうもの。清原氏の投資哲学は常識に反していたわけである。 「次の出会いは1年後で、ある企業の決算説明会でした。彼は会社を移りタワー投資顧問でファンドを立ち上げており、私たちは人形町の場末の焼き鳥屋で意見交換しました。 そこで清原さんは『ポートフォリオを見てくださいよ』と、投資した小型株の一覧を見せてくれました。『渋いポートフォリオでしょ』と彼は笑った。確かにいぶし銀ですが、『上昇するのに時間がかかるだろうな』と心配もしました。でも、99年に小型株相場が来て、彼は大きく運用成績を上げたのです」