交際相手に資金援助、ダミー会社でコロナ詐欺…検察側が便宜供与指摘 洋上風力汚職初公判
洋上風力発電を巡る汚職事件で受託収賄罪などに問われた元衆院議員の秋本真利被告(49)らの25日に開かれた初公判で、検察側は「日本風力開発」(日風開)の社長だった塚脇正幸被告(65)が秋本被告に便宜供与を繰り返していたと明らかにした。塚脇被告は賄賂とされた競走馬の購入代に加え、秋本被告の交際相手が海外留学した際にも資金を援助。ドローン事業の収益も提供することを計画していたという。 【写真】東京地裁に入る秋本真利被告 「職務の対価で受け取ったものではありません」 紫のストライプのネクタイに黒っぽいスーツとマスク姿で出廷した秋本被告は、裁判官から認否を問われると、約7分にわたり無罪を主張した。 賄賂に問われているのは、主に秋本被告が塚脇被告と共同で設立した馬主組合に塚脇被告が提供した多額の資金だ。 検察側は、組合は秋本被告が支配しており、組合への資金は秋本被告への賄賂にあたると主張しているが、秋本被告は組合は塚脇被告のためのもので、資金も自分への賄賂ではない、と訴えた。 一方、検察側は冒頭陳述で、塚脇被告が風力発電の促進に熱心な秋本被告を「利用価値のある国会議員と認識していた」と主張。国会質問の見返りに、競馬好きな秋本被告が馬の交配や育成を楽しめるよう、組合を設立したと指摘した。 検察側によると、秋本被告側への便宜はそれに止まらなかった。 令和元年6月ごろ、秋本被告は交際相手の秘書が海外留学する際に塚脇被告に資金援助を依頼。贈賄罪には問われていないものの、日風開は交際相手に約2年間、顧問料を支払ったという。 秋本被告が塚脇被告から接待を受け始めた平成30年6月には、塚脇被告がドローンで風力発電所を点検する事業の利益の提供を打診した。検察側は、秋本被告が別の交際相手を取締役とするダミー会社を設立して利益を受け取る準備を進めたとした。 事業は実現しなかったが、新型コロナウイルス禍で業績が悪化した企業への政府の持続化給付金事業が始まると、秋本被告はこの会社の売り上げを偽装し、給付金をだまし取るのに悪用したという。(桑波田仰太、久原昂也、星直人)