【米政権交代】 アメリカの次の国務長官候補、外交課題への姿勢は
アナ・フェイギー、BBCニュース(ワシントン) アメリカ連邦議会の上院が承認すれば、次のアメリカ外交トップ、次の国務長官はマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)になる。 ドナルド・トランプ次期米大統領は13日、ルビオ議員を次の国務長官に指名した。議員は上院外交委員会の委員を務めた経験があり、さまざまな国際紛争について発言してきた。 議員は「タカ派」として知られ、イランや中国について強硬姿勢をとってきた。 しかし、個別の主要外交課題について、これまでどういう発言をしてきたのか。アメリカ初のラティーノ(中南米系)国務長官となる見通しの、ルビオ議員自身の言葉をいくつか見てみる。 ■ウクライナ:戦争終結には「難しい選択」が必要 ロシアが2022年2月に始めたウクライナ全面侵攻について、ルビオ議員は素早い終結が必要だとかねて主張してきた。 今月初めには、「あの紛争の終わりを強く希望しているし、それには非常に難しい選択がいくつか必要になる」と述べている。 ルビオ氏は過去には、「ウクライナがロシア軍を完全に破壊すると思うなど、大げさすぎる」と話していた。 今年前半には、ウクライナに対する60億ドル規模の包括的軍事援助に反対票を入れた。 「ロシアに抵抗を続けるウクライナの人たちはこれまで、とてつもなく勇敢で強力だったと思う」と、同議員は今月初めに話した。 「けれども結局のところ、我々が資金援助してきたのは、膠着(こうちゃく)状態に陥った戦争だ。決着へと持ち込まなくてはいけない。そうしなければあの国は、100年前に押し戻されることになる」 ウクライナでの紛争に関連しては、この戦争が続いていることで、世界中のほかの問題から関心が薄れてしまうことを、ルビオ議員は懸念してきた。 「21世紀の未来は主に、インド・太平洋地域での出来事によって決まる」と議員は述べた。 「我々が欧州での紛争に巻き込まれて、インド・太平洋で起きていることから眼をそらしてしまえば、それは中国にとって願ったりかなったりだと思う」 ■中国はアメリカにとって大きな脅威 ルビオ議員は世界各地について強硬姿勢を示してきたが、特に中国についてはことさらだ。 9月に米紙ワシントン・ポストに寄稿した論説で同議員は、「アメリカがこれまで立ち向かってきた中で、(中国は)最大で、最も進んだ敵だ」と書いた。 中国政府による製造業発展計画「中国製造2025」計画についてルビオ氏は、「その後の10年間で(中国が)アメリカを完全に失墜させる」事態を避けるため、アメリカには新しい製造業政策が必要だと呼びかけている。 「アメリカがこれまで立ち向かった中で最大で、最も進んだ敵について、アメリカの議員はのんびりかまえている余裕などない。これが肝心かなめのところだ」と、議員は書いた。 ルビオ氏はさらに、台湾の独立を強く支えてきた。 「共産主義国家・中国は、民主主義国の友人ではないし、今後も決してそうはならない」と、ルビオ氏は今年8月にソーシャルメディア「X」に書いた。 「自分たちの主権と自由を守る台湾を、国際社会は引き続き支援しなくてはならない」と、同議員は強調した。 ■ガザ停戦? ルビオ議員は、パレスチナ・ガザ地区での停戦に反対している。停戦を支持するかと活動家たちに連邦議会で質問された際、議員はきっぱり、「いいえ」と答えた。 「その反対だ(中略)私は(イスラエルに)イスラム組織ハマスのあらゆる要素を破壊してもらいたい」、「あの連中は恐ろしい犯罪を犯した、獰猛(どうもう)なけだものだ」と、同議員は述べた。 イスラエルが戦う目的は、「イスラエル国民が二度と脅かされないよう、テロ組織を破壊すること」だとも、同議員は話した。 最近では、「テロリストや、身元が判明している犯罪者が相変わらず、カナダからを含めて、地上の国境を越えてアメリカに流れこんでいる」として、カナダ政府がパレスチナ人難民を受け入れると決定したことを非難している。 ■イランは「テロリスト」独裁政権 ルビオ議員は、イランを「テロリスト」の独裁政権と呼んでいる。 イランがイスラエルをミサイルで攻撃したことを受けて、議員は10月1日に声明で、「この脅威を阻止するため、イスラエルが不均衡に反撃する権利を全面的に支える」と表明した。 さらに議員は続けて「X」で、「誰かがアメリカにミサイル180基を発射したならアメリカはこう反応するという、それと同じ形で、イスラエルはイランに反応すべきだ」、「そして、もしテロリストが隣国から我々に向かって対戦車ロケット砲を撃ち込んでいて、そのせいでアメリカ人6万人が1年近くも自宅や農園から避難しなくてはならないとしたら、我々が国の指導者に何をどう要求するか。それと同じことをイスラエルは、レバノンで行うべきだ」と書いた。 国務長官に指名される前、ルビオ議員はトランプ次期政権がイランに「きわめてはっきり、きわめて断固として」対応するはずだと述べていた。さらに、ジョー・バイデン大統領の政権はまるで「国連にいるベルギーの外交官のように」イランを扱ったとも揶揄(やゆ)していた。 (英語記事 Where does America's secretary of state nominee stand on key world issues? )
(c) BBC News