電池不要のラジオ、音を出すための電力はどこから取り出す?
電池不要で動かせるラジオがあります。では、一体音を出すための電力は、どこから取り出しているのでしょうか? 【画像】秘密はアンテナと3つの回路にあります たとえば細い金属線を巻き付けた物体とイヤホンがセットになった「鉱石ラジオ」。40代、50代ならば、学習雑誌や電子工作を扱う雑誌の付録で見かけたことがあるかもしれません。鉱石の代わりにゲルマニウムダイオードを使用することが多いものの、基本的な仕組みは同じです。 それにしても不思議なのは、乾電池もバッテリーもないのに音が出ること。見た目が少し変わったイヤホンは音量があまり上がらず、選局用ダイヤルも基本機能しかない割り切ったつくりですが、ラジオとしてはしっかり機能します。電子機器が電力なしに動くことはないはず、一体どうやって……? その秘密は、アンテナと3つの回路にあります。アンテナがAM放送などの電波を補足、それがアースに伝わると微弱な電流になります。そこから1つの局の電波だけを取り出し(同調回路)、その電波から音声信号を取り出します(検波回路)。一般的なイヤホンは使えませんが、微弱な電流でも駆動できるインピーダンスの高い出力回路(クリスタルイヤホンやセラミックイヤホン)であれば、ラジオの音を電力なしに聴くことができるのです。
海上 忍