防災ヘリ体制、自主運航と民間活用の「長野モデル」検討へ
唯一の消防防災ヘリコプター「アルプス」を3月の墜落事故で失った長野県は22日、「消防防災航空体制のあり方検討会」の作業部会を開き、将来に向け自主運航体制に民間の力も組み込む「長野モデル」で再建を目指す方向で議論を進めました。ヘリの運航は操縦士や整備士などの人材が決め手になるものの、人材不足や加齢による更新の難しさ、長野県特有の高度技術の習得など多くの課題があり、県職員だけの自主運航にこだわらず柔軟な体制づくりで臨む狙い。論議は今後も続きます。 【写真】防災ヘリ墜落、長野県の救難体制に打撃 多くの隊員とヘリ失う
「いろいろな選択肢を組み合わせ安全度高める」
作業部会は県、市町村、消防など関係機関で構成し、この日は冒頭を除き非公開。会議後に県側は、(1)中・長期的な課題を論議した、(2)山岳救助についてどう取り組むか意見を出し合った――としました。 ヘリの運航については県単独による自主運航に加えて民間委託も考える「長野モデル」をめぐり、どちらかに重きを置くことに賛否の意見があったとしました。例えば県の自主運航だからうまくいくという訳でもなく、民間に委託しても問題なくスムーズにできるはずだといった意見が交わされたと説明。 特にヘリの運航は、人材のレベルと活用の方法が決め手になるとの認識が確認され、高度な技術を持つ操縦士や整備士など「人」の問題が焦点になりました。
「人材についての論議を進めると、自主運航か民間委託かという二者択一が意味を持たなくなってくる。いろいろな選択肢を組み合わせることがより安全度を高めることにつながる」(花岡徹・長野県消防課長)として、県側は自主運航を軸に民間の人材なども組み込む長野モデルを論議のテーマの一つとして示しました。 操縦士、整備士などの人材の運用については一般にも多くの課題があり、県の資料によると民間のヘリ操縦士の年齢構成は50歳前後に山があり、45歳以上が全体の約8割という高齢予備軍。しかも薬剤散布が無人機に代わったことによって若い操縦士のヘリ操縦の経験が失われつつあると指摘しています。