設立3年で初の黒字見通し イノシシの受け入れ大幅増で 館山ジビエセンター(千葉県)
有害鳥獣を食肉に加工し、販売する館山市の「館山ジビエセンター」の収支が、会社設立3年目となる令和5年度、初めて黒字となる見通しになった。商品の主力であるイノシシの受け入れ数が4年度から大幅に増えたためだ。代表の沖浩志さん(41)は「今後も受け入れ数が安定するように、関係者の理解や協力が得られれば」と話している。 5年度にわなにかかるなどして捕獲され、センターが受け入れたイノシシは3月半ばまでの時点で計508頭。4年度全体の合計から200頭余りも増えた。5年の10月、11月には1日で9頭も受け入れたことがあったという。 館山市有害鳥獣対策係によると、5年度の市内でのイノシシの駆除数は2月末までで2095頭。過去最多だった2年度の2357頭に次ぐペースという。 市は、駆除数が増えた理由について、餌のドングリが4年は豊作だったことで繁殖が進み、5年度は人里に降りてくるイノシシが増えたため、と推測する。 イノシシの場合、同センターは体重1キロ当たり100円で買い取る。持ち込まれたイノシシは、解体、加工して肉の部分の他、内臓のタン、ハツ、レバーも食用として売っている。受け入れ数が増えたことで売り上げが伸び、黒字化の見通しにつながった。 沖さんは、5年度の状況を「想定外の好調」と喜ぶ。 設立初年度となった3年度のイノシシの受け入れ数は118頭。経営上は赤字のスタートだった。沖さんは、この数字をベースに徐々に受け入れ数を増やし、6年度に500頭で収支を黒字化する計画を立てた。この計画が1年前倒しで達成できたことになる。 ただ、自然が相手だけに今後もイノシシの受け入れ数が安定的に確保できるかはわからない。沖さんは、最終的に5年度の収支が確定する6月に向け、「受け入れ数が500頭あると経営が安定することを関係者の皆さんに示せれば」と期待する。 沖さんは、今後の受け入れ数をできるだけ安定的に確保できるように、現在は館山市内に限られている受け入れ対象地域を近隣の市町に広げたり、シカやキョンといった他の害獣の受け入れ数を増やしたりする方策を館山市など関係機関と話し合いたい、としている。