衆院選総括…自民都連会長「本当に厳しい結果」、一方、躍進の立民都連会長「企業団体献金を禁止しないと日本はダメになる」
TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜18:00~)。10月28日(月)の放送では、自民党・都連会長の井上信治さんと立憲民主党・都連会長の長妻昭さんをゲストに迎え、先の衆議院選挙を振り返り、さらには各党の今後について伺いました。 ◆自民&立民、両都連会長が今回の衆院選を総括 10月27日(日)に投票が行われた衆議院選挙で自民・公明の与党はあわせて215議席にとどまり、衆議院の過半数233議席を割り込みました。一方、野党・立憲民主党は50議席増の148議席を獲得。野田佳彦代表は「与党過半数割れが目標でしたので、その意味では目標が達成できたということは大きな成果だったと思います」とコメントしています。 今回の結果について、自民党の井上さんは「本当に厳しい結果でした。この結果を謙虚に、真摯に受け止めて、やるべきことをやらなくてはいけないと思います。しっかりと政治改革を成し遂げ、国民の信頼を取り戻すことが大事だと思っています」と心の内を明かします。 一方、立憲民主党の長妻さんは「多くの国民の皆さんのお力をいただき、ここまでくることができました」と謝辞を述べ、目標としていた自公過半数割れの達成を誇ります。そして、「金に汚い政治にとどめを刺す。これが我々が申し上げてきたことで、企業団体献金を禁止しないと日本はダメになると思っていますので、それを実現する政治体制を作るために、今は第二ラウンドでいろいろなところと協議するという状況です」と現状を説明。 今回の選挙で大きな争点となったのは“政治と金”です。キャスターの堀潤がこの問題について問うと、井上さんは「我々は前国会で政治資金規正法の改正を行い、政治改革の道筋を示したのですが、今回の選挙で厳しい結果となりましたのでそれをさらに深掘りしていかないといけないと思っています。野党の皆さんの意見も取り入れて、協力していい政治改革ができればと思います」と真摯に答えます。 ここでタレントの山崎怜奈さんが「政治と金の問題も大事ですが、それだけが判断基準となり、安全保障や経済の話が投票に反映されていたかはすごく疑問が残る」と今回の選挙を通して抱いた違和感を語ります。 長妻さんは「おっしゃる通り」と同意した上で、政治と金の問題がもたらす懸念点に言及。「政策には予算が必要ですが、その予算が金の力で歪められ、(政策に)適切な予算がついていない。企業団体献金が集まるところに予算が重点配分される今の金権政治を変えないと、どんなに立派な政策を掲げても予算が回ってこない。それを我々は(今回の選挙でも)訴えてきました」と主張します。 そして、国会が開いた暁には“企業団体献金の禁止”、さらには政治家が責任逃れできないよう“連座制”の導入、政治資金を明確化すべく領収書の添付の3つを目指すと明言。対して、井上さんは「必ずしも企業団体献金が悪いわけではなく、(政治家には)政治活動の自由もある。むしろ(政治資金の)透明化を行い、国民の皆さんに判断してもらうほうが大事」と反論します。 すると、関西大学特任教授の深澤真紀さんからは「企業団体献金が必要な政治活動とは何なのか? “政治に金は必要”と(自民党の)皆さんはよくおっしゃるが、その金は具体的に何に必要なのか? どの党も同じ条件のはずだが、他の党はそんなに献金がないのはなぜか?」との疑問が。これに井上さんは人件費や事務所運営費など物理的にかかる費用が多々あると説明しつつ、「それぞれ党の成り立ちや構造、支援団体も違うので一概に自民党だけがお金を集め、たくさんお金を使っているということではありません」と釈明。 お笑いコンビ・髭男爵の山田ルイ53世さんは、「お金に関して良くないことがあった場合は、政党助成金を半分にするなどペナルティがないと、国民は納得いかない」、さらには「政治不信ということに関しても、潔く説明してくれればいいだけ」と率直な思いを打ち明けます。 これに、長妻さんは、そうしたルール作りに関しては立憲民主党も重視しており、なかでも諸悪の根源になっているのが企業団体献金であると改めて指摘。「先進7ヵ国で規制がこんなに弱い国はありません」と声を大にします。 ◆大躍進の国民民主党、その背景は? 衆院選では各党さまざまな政策を掲げていましたが、物価高対策について自民党は低所得世帯への給付金と地方交付金の拡充を提示。一方、国民民主党は消費税5%と所得税の課税対象を103万円から178万円にすること、日本維新の会は消費税8%と所得税・法人税の減税、立憲民主党は人への投資で賃上げを支援、契約社員・派遣労働者の正規雇用を訴えました。 そして、防衛増税については自民党のみ賛成で、他の3党は反対。原発は、自民党、国民民主党、日本維新の会が今後も利用するとし、立憲民主党のみ2050年までにゼロ。憲法改正についても立憲民主党のみ否定的な姿勢でした。 そうしたなか、手取りを増やすことを強く標榜していた国民民主党が大きな支持を集め、公示前の7議席から4倍の28議席まで増加。玉木雄一郎代表は自民・公明との連立政権は否定した上で「政策を実現していくことを政府与党に求めていきたい」と強調しています。 国民民主党の躍進について、長妻さんは「手取りを増やすことは我々も申し上げていたんですが、訴求力が弱かったところはあります」と反省する傍ら、「ただ、この30年間で物価を上回る賃金上昇が日本だけない。それはやはり企業が(利益を)給料に回す前に配当を増やしたり、自社株買いや内部留保をし、その残りを給料に回している。このマインドを変えないといけない」と指摘。 さらには、「ヨーロッパは日本ほど格差のある働き方はないんですよ。ですから、我々は非正規雇用を正社員化する法律を出しましたがこれも自民党に潰されている。やはり大きな業界の献金、力で今の政治は動いているので、そこを逆転させないと終わる可能性がある、構造改革をしないといけない」とも。 また、国民民主党と日本維新の会が望む消費税減税については、「それで恩恵を受けるのはお金持ちなんですよね。(彼らは)消費の金額が大きいので。それよりは一定の所得以下の方に給付金をお支払いする、我々は“給付付き税額控除”を主張して選挙を戦いました」と立憲民主党の考えを伝えます。 一方、井上さんは「例えば、物価高対策として物価高に勝る賃上げを目指すのは各党共通しているので、それは一緒になってやっていけばいいと思いますが、現状ではそれができていない。そうなると政権を握っている与党に責任があるとなってしまうので、そこで厳しい選挙になったと思いますね」と今回の選挙での苦戦の理由を分析します。 最後に、与野党が歩み寄る可能性があるのか伺うと、井上さんは「減税や給付金の話をするときに財源の話は避けて通れないものですが、そこで野党の皆さんはどうしてもバラマキ的な話が多い。与党としては責任を持って財源を確保していく、防衛増税などはその典型です。我々は増税したいわけではなく、必要なものは税で賄わなければいけない、そういう観点から減税なり給付金をいかにやっていくのかが大事だと思っています」と財源の考え方の違いを示唆します。 また、国民民主党との連携については、「今回躍進したわけですから、その国民の意思を聞いて、歩み寄るところは歩み寄るべきだと思います」と井上さん。対して、長妻さんは「(国民民主党が訴えている)トリガー条項の問題も我々は公約に入れていたり、前に一緒にやっていた仲間も多くいる。共通するところは非常に多いので、まずはいろいろ話をして協調を呼びかけたいと思います」と話していました。