またも気が遠くなるような「怪物カー」が誕生! その名も「777ハイパーカー」はなんと11億円もする驚速マシンだった
800馬力の自然吸気V8を搭載するサーキット走行専用車
イタリアから、また世界を驚かせるハイパーカーが誕生することになった。現在、その開発が最終段階にあるそのハイパーカーの名は「777ハイパーカー」。2025年にはデリバリーを開始する予定だという777モータースによれば、それはサーキット走行専用車で、カスタマーが走行したあとは、メンテナンスのため彼らが本拠地とするモンツァのガレージに保管されることになるという。 【写真】マクラーレンF1と同じセンターシートを採用! 奇才「ゴードン・マレー」が手掛けたハイパーカーT.50とは つまり、カスタマーはそれを自宅のガレージに持ち帰ることはできないということになる。 777ハイパーカーには、多くのモータースポーツ・スペシャリストがその開発プロジェクトに関係している。まずそのコアとなるカーボンファイバー製モノコックを開発、製造したのは、モータースポーツの世界でも常に第一線で活躍する、かのジャン・パオロ・ダラーラ率いる、ダラーラ・アウトモビリ。777ハイパーカーのウエイトはわずか900kgに抑えられているというが、これもダラーラの長い経験と深い知見があればこその数字である。 加えて、彼らはエアロダイナミクスの最適化にもそのノウハウを惜しみなく提供している。 リヤミッドに搭載されるエンジンは、4.5リッターのV型8気筒DOHC自然吸気。800馬力の最高出力を9000rpmで発揮するこのエンジンの開発には、かつてのザイテック・エンジニアリング、現在のギブソン・テクノロジー社がイギリスから協力する体制が確立されていた。 ギブソン・テクノロジーといえば、2017年から導入されたLMP2規定でのエンジンサプライヤーとしてワンメイクの役割を担ったほか、さらにその歴史をザイテック・エンジニアリング時代にまでさかのぼれば、2011年と2014年にはLMP2クラスでル・マン24時間レースを制覇するなど、確かな実績を持つエンジン・サプライヤーだ。
走行の際にはオーナーのためにサーキットが貸し切られる
この777ハイパーカーではブレーキやサスペンション、ギヤボックスにも同様にレーシングコンポーネントが使用され、ル・マン24時間やデイトナ24時間など、パートナーの成功体験が大きく生かされている。 777ハイパーカーのデザインは、かつてIDEAで活躍し、現在は自身の名を掲げたウンベルト・パルレモ・デザイン社によるものだ。一切のレギュレーションに束縛されることがない777ハイパーカーのデザインは、現代のLMH、LMHdカーよりもさらに有効な空力的デバイスを持つもの。そのダウンフォース量は、最高速とされる370km/h走行時に2100kgという驚異的な数値を発揮するという。 ちなみに777モータースがコンピュータを用いて試算したモンツァ・サーキットのラップタイムは、フェラーリ499Pが2023年の6時間レースのクオリファイで記録した1分35秒375、あるいは同レースでポールポジションを獲得したトヨタGR010ハイブリッドが残した1分35秒358を超える、1分33秒ジャストだ。 最大の横方向加速度が4Gにも達する777ハイパーカーは、2025年に7台のみが限定生産される予定だが、そのオーナーが収まるコクピットもじつに未来的な雰囲気だ。前面にはさまざまなパラメーターが表示される7個の大型モニターが並び、人工知能によって管理されるプロセッサがサーキットによって、その瞬間に必要な比較データを表示する。 とくにモンツァは777ハイパーカーとそのオーナーにとってのホームサーキット。エンジニアリングチームがその性能をフルに楽しめるように帯同して、フルホスピタリティによるオーナー専用のサーキットテストデイが開催される。 777モータースは、ダラーラとともに、777ハイパーカーと同じステアリングやシート、そしてコクピットを持つプロフェッショナル・ダイナミック・シミュレーターの開発にも取り組んでいる。オーナーは、イタリアのヴァラーノ・デ・メレガリ、またはアメリカのインディアナポリスに新設される、このシミュレーターを使用できる施設でレーシングドライバーのようにトレーニングを行うことが可能だという。 700万ユーロ(約11億3050万円)というプライスを掲げた777ハイパーカー。その走りを実際に自分の目で確かめてみたいものだ。
山崎元裕
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