「スラムダンク奨学金」で福岡第一の崎浜秀斗が米国留学 渡辺雄太も通った学校入学「NBAレベルの選手たちとやりたい」
昨年12月に行われたバスケットボールの全国高校選手権(ウインターカップ)で、福岡第一を4年ぶりの優勝に導いたエース崎浜秀斗(18)が卒業後の今春から米国に留学する。漫画家の井上雄彦さんが創設した「スラムダンク奨学金」の支援を受け約1年間、米国の大学進学準備校・プレップスクールで競技と勉学を両立し、強豪大学入りを目指す。(伊藤瀬里加) ■高校時代に対決する河村勇輝と富永啓生【写真】 ウインターカップから約2カ月、崎浜は今月末の渡米に備えて故郷の沖縄で猛勉強の日々を送った。午前10時から午後4時まで、オンラインで奨学金合格者に提供される事前プログラムを受講。個人的にも英会話のレッスンを受け、合間にトレーニングを続ける。 左足骨折の手術を乗り越えて臨んだ最後のウインターカップは準々決勝の東山(京都)戦、残り27秒で劇的な逆転3点シュートを沈めるなど全6試合で2桁得点を記録し、大会優秀選手にも選ばれた。 「最後、日本でいい形でバスケ生活を終え、アメリカに行ける。今は楽しみの方が大きい」 海外挑戦を考え始めたのは西福岡中時代。新型コロナウイルス禍で外出も練習も思うようにできない中、動画で米国留学の道を知った。独学で英語の勉強を始め、語学力は既に外国人留学生の通訳を務められるほどだ。 最終的な決断は昨年7月。渡米し、現地での練習に実際に参加し「雰囲気、環境を間近で目にできた。自分もこういったところでNBAレベルの選手とやりたいと覚悟を決めました」。 その後、「スラムダンク奨学金」に合格し、日本代表の渡辺雄太(グリズリーズ)も通った米コネティカット州の「セント・トーマスモア・スクール」への入学が決まった。4月から14カ月間、競技と学業に励み、活躍が認められれば大学からスカウトが来る。目標は全米大学体育協会(NCAA)1部の強豪入り。「まずは大学のオファーをもらえるように必死に頑張らなければ」と気合を入れる。 夏の米国での練習では、高さへの対応やシュート精度に課題を感じた一方、守備では手応えをつかんだ。「まずはチームメートを生かすことが自分の役割。得点を狙いつつ、第一で学んだディフェンスを思い切りやれたら結果は付いてくる」と自信を見せる。 将来的には海外での活躍はもちろんのこと、日の丸への憧れもある。昨夏、地元の沖縄で開催されたワールドカップ(W杯)で日本代表がパリ五輪の出場権を獲得した。「代表のように、自分も他の選手に影響を与えられる選手に」。躍進が続く日本バスケットボール界から逸材がまた一人、大志を抱いて海を渡る。
西日本新聞社