長野・善光寺の参道を浴衣姿で打ち水 石畳の温度が10度超下がる
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防暑の知恵として古くから伝わる打ち水を生活に生かそうという「打ち水大作戦」が4日、長野市の善光寺で行われ、浴衣姿の女性らが涼しげに水を打ちました。10数年前から水資源関係の団体や国の肝いりで各地で始まったミニイベント。都市部のヒートアイランド現象などを背景に、地方都市でも水の大切さや冷房の使用抑制につながるエコ活動として広がっています。
打ち水は長野商工会議所女性会、地元の町や商業団体、善光寺が実施。この日は午後3時から浴衣姿の女性会メンバー、善光寺僧侶ら約30人が手おけから打ち水をし、仁王門から仲見世、本堂までの参道の石畳を約1時間かけて潤しました。協力した長野県、長野市、NPOなどの職員らも水の補給を担当しました。 温度の計測結果によると、打ち水開始前の午後3時ごろの仁王門北側の石畳の温度は51.6度で、打ち水の後は38.6度と13度下がりました。また、本堂の前では50.2度から38.5度へ11.7度下がり、打ち水で地表面の温度を10度以上下げる効果があることが分かりました。
冷房のなかった時代は、住宅などの周辺の地表温度を下げることによって、開け放った家の中を涼しい風が通る効果があったとされます。最近はヒートアイランド現象で都市全体が熱くなるため、アスファルト舗装の道路や駐車場などに蓄えられた熱を冷ます効果が期待されています。 国交省は、打ち水のルールとして(1)水道水は使わず、風呂の残り湯、下水の再生水、雨水などを利用する、(2)ペットボトルや手おけ、ポリバケツなど身の回りの道具で打ち水をし、お金をかけない、(3)江戸時代のエコライフの一つだったことを思い起こし、伝統文化にかかわるイベントとして浴衣などのクールビズで参加する、(4)打ち水の前後の気温を測って、その効果を皆で確認する――などを挙げています。 長野県ではさらに千曲市や長野市の篠ノ井駅前などで7日にかけて打ち水イベントを実施の予定。長野商議所によると県内14の商議所でも打ち水が計画されています。
---------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者・編集者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説