「何年かけてとか3年計画とかにするとうまくいかない。とにかくJ1昇格を目指す」。FC今治・岡田武史会長が語るJ2挑戦への決意
2025年シーズンからJ2で戦う岡田武史会長とFC今治。その挑戦は、サッカーチームを強くするだけでなく、愛媛県今治市という地方都市のコミュニティの在り方を変革することも含む異例のものだった。昇格決定後の岡田へのインタビューを中心に、クラブの挑戦の歩みや未来へのビジョンを全4回に分けて伝える特集。第2回目はサッカーの話にフォーカスする。(文中敬称略) 【画像】FC今治が念願のJ2昇格を達成した試合
昇格決定は達成感よりホッとしただけ
待ちに待ったJ2昇格だった。 2014年11月に岡田武史がFC今治の代表に就任して以降、2年後の2016年に四国リーグからJFL昇格を果たす。3年後にJFL4位を確定させ、2020年シーズンよりJ3入会と難なくその階段をのぼってきた。 しかし2020年から始まったJ3の戦いではなかなか昇格争いに食い込めず、監督交代も続いた。 2022年シーズン5位、23年シーズン4位と地力をつけつつ、元日本代表の服部年宏監督を招聘した今シーズンを「勝負の年」と位置づけた。 昇格に王手を掛けた11月10日、アウェイのガイナーレ鳥取戦。5-0と快勝して自動昇格圏内の2位を確定させ、スタンドで見守る岡田の表情からもようやく笑みもこぼれた。 「鳥取戦の前にあったホームのFC琉球戦(11月3日)が勝負だと思っていた。あそこで何とか勝てたから、8割方(昇格が)決まりだという思いはあったよ。 それでも最終戦までズルズルもつれたりすると何が起こるか分からない。その意味ではあそこで決めてくれて、まあ、ホッとしたというのが一番だったよ」 琉球との一戦は残り10分まで1点リードされる苦しい展開であったが、そこから2点奪って勝利を手にしている。残り3試合で3位カターレ富山との勝ち点差を7に広げる大きな勝利となり、勢いをもって鳥取戦に臨むことができた。 「達成感みたいなものはないよ。支えてくれた社員、スタッフ、応援してくれたスポンサー、パートナー、サポーター……この人たちの期待を裏切っちゃいけない、喜ばせてあげたい、その思いだけだよね。だからホッとしただけ。 振り返ってみたらジョホールバルでイラン代表に延長Vゴールで勝ってワールドカップ出場を決めたとき(1997年11月16日、フランスワールドカップ・アジア最終予選第3代表決定戦)だってそうだった。 帰りのバスなんて疲れ果ててシーンとしていた。やったぞー、とかじゃなくて、ホテルに到着したらみんなバーッとすぐ部屋に戻ったくらいだから。 俺も、ああこれで日本に帰ることができるなっていう安堵した思いしかなかった。俺はいつもそんな感じだよ」