福島県内出生率1.21、最低更新 2023年人口動態統計 出生数8000人台迫る
厚生労働省は5日、2023(令和5)年の人口動態統計(概数)を発表した。女性1人が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は福島県が1・21となり、4年連続で過去最低を更新した。1年間に生まれた赤ちゃんの数(出生数)は9019人で8千人台が目前となった。出生率は過去10年で最も高かった2016(平成28)年の1・59から下がり続け、少子化の進行が改めて浮き彫りとなった。県は2023年に1・57とする目標を掲げていたが大きく下回り、少子化対策の実効性が問われている。 福島県の合計特殊出生率と出生数の推移は【グラフ】の通り。出生率は前年の1・27を0・06下回り、2017年以降7年連続で低下した。出生数は初めて1万人を割り込んだ前年よりも690人減少した。婚姻件数は5599組で前年比489組減少した。離婚件数は2563組で前年より2組増えた。県こども・青少年政策課は「全国的な傾向ではあるが、大変厳しい状況」と危機感を示す。
県は少子化の背景として未婚・晩婚化の進行、経済的な不安、男女の出会いの少なさなど、さまざまな要因が影響しているとみている。出生率を上げるためには出会いから結婚、妊娠、出産、育児までの切れ目のない対策が急務となる。 県は今年度、新たに民間企業による婚活イベントの開催を後押しする。過疎地に住む妊婦が遠方の産婦人科で出産する際の交通費・宿泊費の補助事業で妊婦に連れ添う同行者の宿泊費を独自に補助する。 県は、これまでも対策を重ねてきたが出生率低下に歯止めがかかっていない。人口問題に詳しい福島大行政政策学類の岩崎由美子教授は「現状に甘んじていては少子化は加速するばかりだ」と指摘。「女性が働きやすく、子どもを育てやすい地域づくりが求められる。若者や女性の声を丁寧に聞き、政策形成や意識変革に取り組んでほしい」と行政に注文した。