トルコ大統領、地方選で敗北-イスタンブール市長選は野党が勝利宣言
(ブルームバーグ): トルコのエルドアン大統領は3月31日の地方選挙で敗北を喫した。激しいインフレと記録的な高金利の中で、20年余り前に政権の座に就いて以来、衝撃的な結果となった。
国営のトルコ・ラジオ・テレビ放送(TRT)が発表した途中の段階での集計によれば、エルドアン氏率いる公正発展党(AKP)は初めて、地方挙で最大野党・共和人民党(CHP)の後塵(こうじん)を拝することとなった。開票率90%近くの段階で、AKPの得票率は35.9%にとどまり、CHPが37.3%でリードしているという。
今回の結果からは、国内の多くの地域で有権者の与党離れが見られ、特に都市部でその傾向が顕著であることが示された。エルドアン氏がトルコ中央銀行に主要金利をAKPが初めて政権を獲得した2002年以来の高水準となる50%まで引き上げることを容認したにもかかわらず、高インフレが継続していることが主な要因。借り入れコストの上昇は消費者心理を冷やしたものの、前年比で70%近い物価高を逆転させるには至っていない。
ユーラシア・グループの欧州担当ディレクター、エムレ・ペケル氏はエルドアン氏について、「経済的苦境を背景に、有権者は地方選で同氏の党と同党候補に厳しい審判を下したようだ」と語った。
エルドアン氏はアンカラのAKP本部で支持者を前に演説し、敗北を認めた。「3月31日の選挙は転機となる。われわれは地方選で期待していた結果を得ることができなかった」と語った。
最大都市イスタンブールの市長選では、現職でCHPのイマモール市長が早い段階での集計を引用して勝利宣言した。イスタンブールの人口は1600万人近く、年間予算は66億ドル(約1兆円)。
ただ、エルドアン氏は今回の選挙結果が自身の経済計画の妨げになることはないと指摘。「われわれは決意をもって中期計画を実行してきた。国家や将来の世代に負担を強いるようなポピュリズム的な手段からは距離を置いてきた。物価情勢の改善にけん引され、経済計画の成果が現れ始めるだろう」と語った。