なぜ東大生は不幸になるのか? 大手企業に入っても数か月で退職、うつ病で休職…エリートが社会人になった途端にダメになってしまう「3つの理由」
「高学歴の幸福論」とは
既にお話しした通り、高学歴には世間からの視線が集まります。そして、評価の基準が普通よりも厳しいです。なので「ここで失敗したら、『東大生のくせに』って言われるんだろうな」と考えた結果、リスクを取って挑戦することが難しくなってしまいます。 僕も、仕事を抱えがちな東大生に「なんでそんなに仕事を抱えるの? 他の人を頼りなよ」と言ったことがあるのですが、そのときこう返されました。 「いや、頼ってしまうのはなんだか申し訳ないし、自分一人ではできなかったって意味で失敗のように感じられて」 と。要するに、「失敗したくない、できない」という感覚が彼ら彼女らの成長を阻害しているのです。 では、そんな中で、どんなふうに高学歴と接すればいいのか? これはとても簡単な話です。まずはこの「高学歴の幸福論」を理解してあげましょう。気軽に「高学歴なのにこんなこともできないのか」などと言わないこと。初歩的なミスをしたとしても、高学歴という色眼鏡では評価しないこと。これが一番重要なことです。 その上でもう1つ重要なのは、「失敗したときでも、相手を評価すること」だと思います。人間誰しも、初めて水に入る時は怖いと感じるものです。海水を飲んでしまったり、溺れかけてしまったりもするでしょう。でも、そういう経験も乗り越えた上で、徐々に泳げるようになっていくものです。 「失敗しても大丈夫」 これをきちんと伝えてあげることが重要です。 失敗したことを笑わず、むしろ果敢に挑戦したことを肯定する。そういう上司の下であれば、徐々にですが、マネージャーとしてのスキルが身についていくのではないかと思います。 文/西岡壱誠 ---------- 西岡壱誠(にしおか いっせい) 1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「思考法」「読書術」「作文術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、在学中の2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立し、代表に就任。著書に『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』 (東洋経済新報社)、『教えない技術 「質問」で成績が上がる東大式コーチングメソッド』(星海社)などがある。 ----------