５回の攻撃前、ベンチ前で円陣を組む広島ナイン（撮影・市尻達拡）

　「広島０－６ＤｅＮＡ」（１３日、マツダスタジアム） 　首位・広島が両リーグワーストとなる今季１８度目の完封負けを喫した。７月１２日・ヤクルト戦から続いていた本拠地・マツダスタジアムでの連勝も「９」でストップ。それでも新井貴浩監督（４７）は各打者の内容を評価して「悲観することはない」と信頼を寄せ、３差に３チームがひしめく混戦を抜け出すために気持ちを切り替えた。 【写真】炎上し、文字通りガックリ肩を落とす野村 　終始劣勢の展開。ベンチで座る新井監督は鯉党のため息を背中で受け止めながらも表情が険しくなることは最後までなかった。連打なしの散発４安打での完封負け。手痛い１敗であることに変わりないが、「紙一重の打球が多かったし、各打者の内容を見たら、そんなに悲観することはないと思います。切り替えて、また明日臨んでほしいと思います」とナインに前を向かせた。 　相手先発・東に苦戦した。六回１死まで完全投球を許し、直球でグイグイ押された。石原のチーム初安打となる右前打と秋山の左前打で演出した六回２死一、二塁では、不動のレギュラーとなりつつある矢野に代打・二俣を起用。６点を追う展開でも積極的な采配を見せたものの、二俣は見逃し三振に倒れて無得点に終わった。 　いきなり狂った歯車が左腕に好投を許すきっかけだった。初回に先発・野村が佐野に適時打、オースティンに３ランを浴びて４失点。東に大量援護を与えてしまったことが、大胆な配球を許す要因となった。 　指揮官は「対戦も多くて、データも出ていると思うし、初回に４点かな。相手バッテリーからすると、配球しやすいよね。思い切ったことやりやすいよね」と試合展開について言及。２連勝中だった東に意地を見せつけられる結果に、朝山打撃コーチは「２回ウチが勝っていたら、向こうもいろいろ考えてくる。狙い球の部分でバッテリーにヤマを外された部分があった。でも負けは負けで、完封負けだろうが一緒なので、切り替えて行く」と次戦に視線を向けた。 　希望の光となったのは今季初めて３番で起用した中村奨。二塁打を含む２安打の活躍を見せた。新井監督も「いいね」と切り出し、「もちろんナイスヒットだし、球種に対する打球の方向、強さというのもね。内容もいいと思う」と称賛した。 　これでセ・リーグは３ゲーム差の中に、上位３チームがひしめき合う状況となった。３位・阪神には自力優勝の可能性が復活した。 　ただ、勝負の８月戦線でも新井監督は泰然自若の姿勢を崩さない。勝負どころはどこか－。混セを抜け出すため、指揮官はムチの入れどころを見極めている。