“現役引退”もよぎった9カ月。帰ってきた守護神・矢澤大夢の再挑戦「限界が来るまで、やれるところまでやる」|フットサル
代表を諦めたら、おそらくすぐ辞める
──昨シーズンは右膝の前十字靱帯損傷し、長期離脱を余儀なくされました。以前、同じ時期に怪我をした北野聖夜選手に「大夢と一緒に、引退について話をしていた」と話を聞きましたが、もう一度ピッチに戻ろう思った理由やきっかけはあるんでしょうか? 怪我をした当初は、ちょうどチームとの契約も切れるタイミングだったし、もう引退しようと思っていました。でも、クラブ側も僕を必要としてくれていたし、今後のセカンドキャリアのことを考えて辞めるか続けるかを天秤にかけた時に、続けるという選択が上回りました。まだ30歳ですしね。 どうするか悩んだ時期もありましたが、「もう少しやろう」という短期的な気持ちではなく、「限界が来るまで、やれるところまでやる」という意識に変わっています。 ──リハビリ中、「もうピッチに立てないのでは」という怖さや焦りはなかったですか? 攻撃に参加した時のフィールドの動き、たとえば長いパスを蹴ったりシュートを打ったりする時は少し気にしますけど、GKの動きって実は前十字にそんなに負担がかからないんですよ。 同じ怪我をしたこともあったし、ちゃんとコンディションを戻せることもわかっていたので、聖夜と比べるとそこまで深刻には考えていなかったのかな、と。この世界にいると、毎年気持ちは変わるので断言はできないですけど……。もう一度代表に入れるように精進していきたいです。 ──やはり、もう一度日本代表としてプレーしたいという気持ちは強い? もちろんです。代表を諦めたら、おそらくすぐ辞めると思います。そこを諦めていないからこそ、もっとプレー向上させようというモチベーションにになっているので、現役でいるうちはずっと目指していきます。
崩れないように、どれだけ後ろで支えられるか
──若手も増え、監督も代わってクラブはいろんな変遷を辿っています。在籍年数も長くなって来た矢澤選手から見て、このチームのいいところは? 仲がいいことですかね。練習の強度を上げるためには、もっと要求し合って、時には意見をぶつけ合わないといけないとも思うし、一長一短ではありますが……。あとはクラブが掲げている理念や、このチームをもっと発展させようという社長の姿勢も、すごく共感できるポイントです。 ──これからより強いチームになるために、どういったことが必要だと感じますか? 最初の話に戻ってしまいますが、立ち上がりでもっと集中して入るというところからですかね。若い選手も多いので、どうしても気持ちの波がすごく上下してしてしまうし、それを一定にできるのって経験を重ねるしかないかな、と僕は思っています。そこは今すぐに改善できる問題ではない分、ベテラン組が落ち着いて、沈んでいる選手に声をかけカバーをしながら悪い部分を耐えつつ、ゲームの流れをつかんで若手につなげてあげる。それが徹底できれば自ずと底上げにもなるし、どのチームを相手にしても勝てるチャンスはあると思います。 僕も最近になってわかってきましたが、フットサルって本当に流れが大事なスポーツなんですよ。なので、そこが崩れないように、どれだけ後ろで支えられるかですね。 底辺でパスミスをして点を入れられてしまうような、どうしようもない失点をしてしまうと、そこですごくチーム全体のメンタルも落ちてしまうので、できるだけ止めるし、ミスが起きないように声をかけ続ける。そこはものすごく意識しています。そういったミスがどんどん減っていけば、このチームはもっともっと強くなると思います。