住友生命社長、超長期国債の購入方針を維持-マイナス金利解除後
(ブルームバーグ): 住友生命保険の高田幸徳社長は、ブルームバーグとのインタビューで国債市場での資金運用について、「超長期債を平準的に買い進めるスタンスは大きく変わらない」と述べた。日本銀行によるマイナス金利政策の解除後も運用戦略の急激な変更はしない方針だ。
高田氏は日本国債に関して、10年以上の超長期債を中心に保有していると説明。金利が上昇すれば買い増す考えを示した。ただ、金利水準は「日本のファンダメンタルズから見ても大きく上がるのは難しい」として、ポートフォリオの大幅な見直しは「今すぐは考えていない」と語った。
日銀は19日、マイナス金利解除やイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)撤廃など大規模緩和政策を転換し、「金利の正常化」に向け動き出した。生命保険などの機関投資家は国債利回りの動きなどを見極めながら、収益の最大化を目指した資金運用に取り組んでいる。
一方で高田氏は、株式や債券など伝統的資産に代わるオルタナティブ資産への投資を拡大する方針を明らかにした。責任投資推進の観点から、今後は特に社会インフラに投資するエクイティーファンドや、プロジェクトファイナンスに積極的に資金を振り向ける考えだ。
上げにくい予定利率
一般的に金利上昇は生命保険商品の魅力向上につながるが、高田氏は契約者に約束する予定利率の引き上げは簡単ではないと説明する。特に保険料を分割で払う商品の場合、同利率の算定目安で金融庁が示す標準利率は「シミュレーション上、向こう5-6年は上がらない」と予測。「各社悩んでいるのではないか」と話す。
「標準利率」は過去の市中金利の動きに基づき設定され、上下動の幅に一定の刻みが設けられるなど特殊だ。こうした事情もあり、生命保険会社としては市中金利に連動して直ちに予定利率を引き上げづらいのが実情だ。同社は2023年10月から一部個人年金保険の予定利率を38年ぶりに引き上げた。