チャンス到来、経済人は意気盛ん ── 大阪新年互礼会
大阪政官財の要人が一堂に集まる大阪新年互礼会が5日午後、大阪市中央区のホテルニューオータニ大阪で開かれ、景気の行方などをテーマに歓談の話が広がった。会場で主だった経済人に話を聞いた。
「千客万来」から「万客万来」へパワーアップ
佐藤茂雄大阪商工会議所会頭は「昨年の大阪の外国人旅行客が、一昨年の260万人から320万人に増えた。大阪商工会議所のスローガンを『千客万来都市』から『万客万来都市』にパワーアップして、大阪に元気にしたい」とあいさつ。あいにくのどの調子が悪いため長い会話はできなかったが、会場を回りながら、こぶしを挙げて、参加者を鼓舞していた。 井上礼之関西経済連合会副会長は「企業家は利益が出たら内部留保するのではなく、投資に回してリターンを増やす人間でなければならない」と主張。「さらに労使が分配について協議をして、適度な賃上げで経済に弾みを付けるようにすべきだろう」と、視野が広くバランスのとれた経営判断の重要性を指摘していた。
「志」を掲げて次世代へバトンタッチ
村尾和俊関西経済同友会代表幹事は「志」を今年のキーワードに掲げた。「次世代にツケを回すことなく、課題を克服して次の成長につなげていく志が必要だ。関西ではラグビーW杯などの大きなイベントが切れ目なく続くため、成長を継続しやすい。成長戦略の一環として、IR法案もぜひ国会で通してもらいたい」と、目先の利益にとらわれることなく、長期的視点を強調していた。 鳥井信吾関西経済同友会前代表幹事は、安倍新政権への注文を聞かれ、「成長戦略」と断言。「食糧自給率が低く、エネルギーも輸入に依存する日本では、外貨の稼げる国際競争力の高い成長産業が欠かせない。成長産業を育てて拡大再生産に持ち込めるよう、官民一体で取り組む必要がある」と話した。 更家悠介関西経済同友会常任幹事は「円安を活用してサービスの強化と製造業の復活を」と呼びかける。「円安による外国人旅行客の誘致をより確かなものにするため、アートや環境にやさしいサービスを強化する。同時に円安で国内でのものづくりが再評価される傾向がある。下請け態勢から脱却して、世界に通用する付加価値の高い製品をめざす絶好のチャンス」として、ソフトとハードの創造的融合を提唱していた。 久々に芽吹いた可能性の若葉を、きちんと茂らせ、大きな幹に育てることができるか。経済人には経営手腕の真の力量が問われる1年になりそうだ。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)