フランス南東部の山岳地帯で開催されるトレイルレース「ＵＴＭＢ」（加賀スパ・トレイル・エンデュランス１００実行委員会提供）

　　●海外富裕層含む2400人出場 　加賀市山中温泉周辺で来年6月、世界最高峰のトレイルレース「UTMB」の予選大会が、国内で初めて開催されることになった。選手約2400人、家族らを含めて約4千人の来訪が見込まれ、経済波及効果が期待される。北陸新幹線が延伸した南加賀に加え、能登半島地震からの復興を目指す石川の観光・宿泊業を応援する一大イベントとなりそうだ。 　　●3コース用意 　UTMB事務局が1日発表した。UTMBは「ウルトラ・トレイル・ドュ・モン・ブラン」の略で、仏南東部のリゾート地シャモニーで毎年夏に開催されている。山岳地帯の約171キロ（100マイル）を駆け抜けるレースで、出場は世界中のトレイルランナーの憧れとされる。 　予選大会は「加賀スパ・トレイル・エンデュランス100」（北國新聞社後援）として来年6月19～22日に実施される予定で、山中座を発着点とする100キロ、50キロ、県民の森から山中座までの20キロの3コースを用意する。 　100キロは九谷ダム、大日山、鞍掛山などの山道を駆けるコースで、2015年から昨年まで開催された最長80キロの「OSJ山中温泉トレイルレース」が下地となっている。完走するとUTMB出場の抽選権（ストーン）が得られる。完走した距離が長いほど抽選権が多く与えられ、当選しやすくなる。 　予選大会は現在、欧米を中心に42カ所で開催されているが、アジアでは中国、タイなどの5レースのみで、本大会出場を目指す日本のランナーは海外に遠征するしかなかった。富裕層が多い海外ランナーからも風光明媚（めいび）な日本での開催を求める声が出ていた。 　山中温泉は国内複数の候補地の中から選ばれた。大会実行委員会によると、加賀温泉駅や小松空港からの交通利便性、加賀温泉郷や金沢を含む周辺エリアの宿泊受け入れ環境、温泉や日本情緒あふれる町並みなどが評価された。 　山中温泉での開催は来年、再来年も継続される見通し。大会実行委員会の滝川次郎委員長は「大会の期間外でも試走に訪れるランナーは多く、南加賀や周辺がにぎわう。震災復興を支援する狙いもあり、石川を代表するアウトドアスポーツに成長させたい」と話した。