福来スズ子「さよならコンサート」の裏側、懐かしい面々の“マジ泣き”は「愛されたヒロイン」の証【ブギウギ最終回】
実は2パターン作っていた『東京ブギウギ』歌唱シーン
また、生演奏、生歌で収録がおこなわれたという最後の『東京ブギウギ』について、「趣里さんには『最後の歌唱』という思いで、万感を乗せて歌って、演じていただけました。曲の導入はピアノの伴奏だけのアレンジ。これは、音楽を担当していただき、最終回ではステージで指揮棒を振っていただいた服部隆之さんと相談して決めました。いきなり元気に歌うより、ピアノソロから静かにスタートしていくほうが、これまでのスズ子の歌手人生を振りかえるにふさわしいのではないかと」と語った。 最後の『東京ブギウギ』歌唱シーンは、放送されたもののほかにもう1パターン作っていたという。福岡さんはこう説明する。 「実はオンエアされたもの以外に、歌に合わせてこれまでのスズ子の回想を走馬灯のように流すバージョンも編集で作ってみたんです。でもやっぱり、最後はスズ子が歌うところをしっかりと見届けたい、ベタベタ回想するんじゃなくてストレートに『歌』を見せたいということで、ステージの映像をフルで使うことにしました。歌を聴きながら、見ていただいてるみなさんに『ああ、スズ子は今まで頑張ってきたんだな』ということを、少しでも感じていただけたらうれしいです」。 半年間『ブギウギ』を楽しんで見てきた視聴者の脳内ではきっと、『東京ブギウギ』に合わせて自動的にスズ子のこれまで半生の回想が流れたに違いない。 取材・文/佐野華英