「愛知県知事リコール運動」元事務局長に有罪判決 「大村やめろ」署名の8割不正 前代未聞の“偽造事件”に判決
愛知県の大村知事の辞任を求める署名が偽造された事件。この事件では集まった43万の署名のうち、実に8割以上が無効と判明しました。19日、この事件の首謀者とされる男に、判決が言い渡されました。
田中孝博 被告: 「おはようございます」 判決の朝を迎えた男のひげは、きれいにそられていました。 田中孝博 被告: 「すがすがしい気持ちです。逮捕されて約1000日、きょうまで本当にありがとうございました」 裁判が終わるまで剃らないと話していた長いひげ。 言葉通り、すがすがしい表情でカメラの前に姿を現したのは、大村知事のリコール運動で署名偽造を主導したとされる田中孝博被告(62)です。 4月19日午後、ついに判決を迎えました。
ことの発端は2019年に開催された国際芸術祭。 この展示内容をめぐり、高須クリニックの高須克弥院長とともに、会長だった大村知事の解職を求めリコール運動を始めました。 名古屋市の河村たかし市長も運動を支援。そこで約43万人分の署名が集まったのですが…。
愛知・大村知事(2021年2月会見) 「提出された署名のうち8割をはるかに超える署名が無効だという報道がありました」 提出された署名の8割以上が無効と判明。"同一人物"が書いたとされる署名が大量に見つかったのです。
そして、2021年、田中被告は地方自治法違反の疑いで逮捕。 その後、佐賀市で動員したアルバイトを使って71人分の有権者の署名を偽造したとして起訴されました。
今年2月の裁判で、検察側は「本件の首謀者であり、高須に選挙の後援を得ようと及んだ身勝手な犯行」 などと指摘し、懲役2年を求刑。 一方弁護側は、無罪を主張していました。
そして。19日、名古屋地裁は「直接請求制度の信頼を失墜させ地方自治そのものを揺るがしかねない悪質な犯行」などとして、懲役2年、執行猶予4年の判決を言い渡しました。
じっと前を見つめ落ち着いた表情で裁判長の言葉に耳を傾けていた田中被告。 裁判後は取材に応じることなく、足早に去っていきました。