イアン・ブレマー氏「トランプ氏の勝率60%」と予想 アメリカの分断を懸念
ガザ情勢を巡る対応でバイデン大統領に逆風が吹く中、トランプ前大統領は候補者指名争いの初戦を制し、勢いづいています。国際政治学者のイアン・ブレマー氏は大統領選の本選挙で、この2人の対決となった場合「トランプ氏が勝つ可能性は60%」とした上で、選挙を通じてアメリカの分断が一層深まる危険性を訴えました。 国際政治学者でグローバルリスクの専門家でもあるブレマー氏。先週、今年の『世界の10大リスク』を発表し、今年はアメリカの分断が最大のリスクになるとしました。大統領選に向けて分断が深まる中で勢いづいているのが、共和党のトランプ氏です。 「今はトランプ氏の勝率は60%。バイデン氏は40%だと考える。トランプ氏がすんなり勝つ可能性を日本人は知るべきだ」(ブレマー氏) 現在、トランプ氏が支持率でバイデン氏と拮抗しています。ただ、トランプ氏が正式に共和党候補となり、共和党の全面的な支持を得れば、一気にバイデン氏を突き放す可能性があるといいます。 さらに中東情勢がより悪化すれば、トランプ氏がますます有利になると予想します。 「彼はこう主張できる。『私の時代に戦争はなかった』『バイデン氏の下で2つ戦争が起きた。支持するのか?』と。もしアメリカとイランが戦争になれば、原油は150~200ドルに急騰し、世界で景気後退が起きバイデン氏は負ける」(ブレマー氏) 2つの戦争が続く中で、もしトランプ氏が大統領に返り咲けば、国際社会にとって、重大なリスクになると考えるブレマー氏。一方、マーケットへの影響についてはプラスとマイナスの両面があるといいます。 「トランプ氏が勝てば減税や規制緩和、財政赤字削減に再び注力するだろう。これらはすべて市場にプラスに働く。ただ注意すべきはトランプ氏の“排除行為”だ。彼は自身に対する調査や裁判を終わらせたい。そこで司法省やFBI、税務当局に忠実な人物を任命し、政治的に利用するだろう。そうしたアメリカの信頼を損なう行為を市場は好まない」 ※ワールドビジネスサテライト