右半身まひから復活のテルミン奏者が音楽会
愛知県豊川市で今月8日
あるテルミン奏者竹内正実さん(57)=浜松市=が出演するコンサート「さわやか音楽会」(実行委員会など主催)が、愛知県豊川市小坂井文化会館(フロイデンホール)で8日午後7時から開かれる。脳卒中で右半身にまひが残り、主に使う手を左に変えて演奏する。「復活コンサート」のような意味合いで挑む。【竹下貴信】 竹内さんは埼玉県出身で2歳の頃に小坂井町(現豊川市)へ。1993年にロシアへ渡りテルミンの演奏法を学んだ。帰国後、フロイデンホールをはじめ、各地でコンサートを開いてきた。さらにマトリョーシカ型のテルミン「マトリョミン」を開発するなど、普及にも尽力した。この頃、「天使の歌声のような音色が出せる」と評価されていた。 ところが2016年、コンサート中に脳卒中を発症して倒れた。一命は取り止めたが、右半身にまひが残った。
左手での音程調節へ切り替え
テルミンは電子楽器で、楽器へ接触せずに音を出す。通常は右手で音程を、左手で音量を調節する。手の位置が1㍉ずれるだけで、音質が大きく変わるという。まひがある手では微妙な調整が難しく、左手で音程を、右手で音量を調節するように切り替えた。 そのような努力が実り、2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の番組後にある「大河紀行」の音楽で演奏を担当した。 竹内さんは「フロイデンホールは、私が奏者として駆け出しの頃、コンサートを開いてくれるなど、とても世話になった場所。私の原点である場所で、復活した姿を多くの人に見てもらいたい」と話す。当日は「コンドルは飛んでいく」「家路」「夕焼け小焼け」など約10曲を、長年一緒に演奏しているテルミン奏者の濱口晶生さん、ピアノの高橋麻乃さんとともに、約1時間かけて奏でる。 500円(菓子付き、全席自由)。チケットはフロイデンホール(0533・78・3000)で。
東愛知新聞社