阪神・佐藤輝2戦連発 チーム歴代最速の4年目4月で70号 大山バットで価値ある2発「もう最高」
「ヤクルト3-4阪神」(6日、神宮球場) 大盛り上がりとなった神宮猛虎劇場の主役は、2日連続でこの男だ。阪神・佐藤輝明内野手(25)が同点の七回に、勝ち越しの2号2ランを放った。得意の神宮での鮮やかな一発は、自身にとって節目の70本目。2試合連発で、チーム今季初となる連勝とカード勝ち越しを導き、勝率も5割に。量産態勢に入った大砲とともに、白星も積み重ねていく。 【写真】2試合連続しかも決勝弾なのに ニコリともせず佐藤輝を迎える岡田監督 強烈な逆風も物ともしない。佐藤輝が完全に覚醒した。「もう最高です」。2試合連続の決勝弾で、2日連続のヒーローインタビュー。虎党からの歓声、メガホンを打ち鳴らす音を一身に浴びる。神宮の杜に「テル、テル」の大合唱が起こり、誇らしげに頭を下げた。 同点の七回無死一塁。決着は一瞬だった。「直球に遅れてたんで。ちょっと早めにいきました」。吉村の149キロ真っすぐを強振でガツン。白球はきれいな放物線を描いて、右中間席の最前列に着弾した。 「もうちょっと飛ぶかなと思ったんですけど。ギリギリでした」。中堅から左翼への風を切り裂き、今季2号2ラン。岡田監督はベンチでニヤッと笑った。左翼席もお祭り騒ぎ。「大きい声で応援してくださって、本当にありがたい」。主役は余韻を楽しむようにダイヤモンドを一周した。 ベンチでは最後尾の大山とガッチリ握手を交わした。「大山さんのバットで打てました」。前夜からの2発は4番のバットで打っていた。長さも一緒で、自身のモデルと大きな違いはない。何かのきっかけになればと茶色の相棒を授かり、豪快なアーチを描いた。 これが通算70号。今季は100号到達を目標の一つに定めている。そこで鍵を握るのがビジターでのアーチ量産だ。「関東の球場でどれだけ打てるかが勝負だと思っている。神宮、東京ドーム、ハマスタでしっかり打てれば、もっともっと上の数字が見えてくるんじゃないかな」。昨季は浜風で左打者に不利な甲子園で24本中13本。敵地での本塁打を増やせば、30本は射程圏内。40本だって夢物語ではなくなる。 昨季は神宮で打率・347、5本塁打。4月29日には1試合2発で勢いを加速させていた。22年も打率・327、3本塁打と得意の舞台。「いい状態だと思います。本塁打は自分の持ち味なんで。もっと打てるように頑張ります」。試合を決められるのが一発の魅力。神宮の空気が佐藤輝の打撃を開花させた。 チームは今季初の連勝で、初のカード勝ち越しも決定。4勝4敗で借金完済となった。「明日も勝ちます!」。王者に借金は似合わない。佐藤輝がアレンパの使者となるため、上昇気流に乗った。 ◆阪神選手70号到達スピード 佐藤輝明、田淵幸一、岡田彰布の3人が入団4年目に記録。“最速時期”は佐藤輝の4年目の4月6日。田淵が4年目(72年)5月5日。岡田は同(83年)10月6日の順。なお到達試合数に関しては佐藤輝の407試合に対し、田淵が303試合で上回っている。 ◆神宮球場での佐藤輝明 ルーキーイヤーの2021年こそ打率.212と苦しんだが22年には49打数16安打、3本塁打、9打点、打率.327。さらに23年は49打数17安打、5本塁打、19打点、打率.347。この2年間はすべてのセ・リーグ本拠地の中で最高打率を残す、“無双”の好相性を誇る。