〈トランプ敗北はあるのか?〉アメリカ大統領選挙で「もしトラ」を防ぐ2つの条件
ドナルド・トランプ前大統領は3月12日(現地時間)、共和党大統領候補指名争いで過半数の代議員数を獲得し、同党大統領候補指名を確定した。2008年民主党大統領候補指名争いでは、バラク・オバマ元大統領とヒラリー・クリントン元国務長官との対決は、同年6月まで延びた。08年と比較すれば、トランプ前大統領の指名確定は、「スピード決着」と言える。 しかし、トランプ前大統領には課題があることも明確になった。また、共和党大統領候補指名争いで快進撃を続けたトランプ前大統領だが、もし本選で敗れるとしたら、一体何が「トランプ敗北」をもたらす条件になるのか――。
「ヘイリー支持者・無党派層・郊外に住む女性」
ニッキー・ヘイリー元国連大使は、リベラル色の強い東部バーモント州で約50%の得票率を得て、トランプ前大統領に勝利した。一方、南部アラバマ州など保守色が濃い州では10%台に止まったが、他州では約2割から4割の票を得ている。 ヘイリー支持者は、「反トランプ色」が強い。例えば、ABCニュースが共和党予備選挙の最中に行った南部ノースカロライナ州での出口調査では、ヘイリー元国連大使以外の候補が共和党大統領候補になった場合、80%がその候補に「投票しない」と回答した。 また、エディソンリサーチの南部バージニア州での出口調査では、「もしドナルド・トランプが有罪評決を受けた場合、あなたは彼が大統領にふさわしいと考えますか」という質問に対して、37%が「いいえ」と答えた。このうちの80%がヘイリー支持者であった。 さらに、米CNNが実施した南部サウスカロライナ州の出口調査では、31%が「もしトランプが共和党候補になったら不満足」と回答した。そのうちの96%がヘイリー支持者であった。同調査では、無党派層の62%がヘイリー元国連大使に投票し、37%のトランプ前大統領を25ポイントも上回った。 これらの数字は、何を意味しているのだろうか。2020年米大統領選挙では、ヘイリー元国連大使と支持者はトランプ前大統領を支持した。しかし、今回はヘイリー支持者がトランプ前大統領に投票をするのかは不透明だ。 24年共和党予備選挙でヘイリー陣営は、トランプ前大統領の弱点を無党派層と郊外に住む女性たち(suburban women)にあるとみていた。それは今でも変わらず、トランプ前大統領は、ヘイリー元国連大使の支持者と無党派層や郊外に住む女性たちから確固たる支持をまだ得ていない。 本選で勝敗の鍵を握るのは、熱狂的なトランプ支持者や民主党のリベラル派の支持者ではなく、正に今、トランプ前大統領が取り込めていないヘイリー支持者や無党派層および郊外に住む女性たちである。