普段は見られない!東京の建築にフィーチャーしたイベントが開催
コロカルニュース
普段はなかなか見ることができない建物の内部を一般公開し建築そのものを楽しむ大規模イベントが、いよいよ東京でも2024年5月25日(土)・26日(日)に初開催。中央区と千代田区の都心を中心としたエリアの30軒を超える新旧の建物が参加します。その見どころや立ち上げの思いを大阪公立大学教授で東京建築祭実行委員長の倉方俊輔さんに聞きました。 【写真で見る】シェアオフィスに生まれ変わった築90年超の〈堀ビル〉(港区新橋) ■インディペンデントで包括的なお祭り ロンドンやシカゴなど、海外各地の都市で以前から開催されてきた建築の公開イベント。日本でも福岡や広島で10年以上前から始まり、倉方さんは2014年にスタートした〈生きた建築ミュージアム大阪(イケフェス大阪)〉、2022年開始の〈京都モダン建築祭〉、翌2023年からの〈神戸モダン建築祭〉などに立ち上げから携わっています。 これらの関西のイベントと〈東京建築祭〉の大きな違いは、行政も都内の既存の団体も関わらずまったくインディペンデントであるということ。 「東京は大きすぎて、既存の組織や大学がつながりづらいまち。そのなかのどこかが主催になると、その色が強くなってしまう。 洋館・レトロ建築が好きな人も、現代建築が好きな人も、高度成長期のちょっと渋いビルが好きだというような人も自分たちのイベントだと思える、そんな枠組みをまずはつくることに専念しました」と倉方さん。 「どの建築も東京を知る大きな手がかりです。東京ってこんなにおもしろいんだ、東京といってもエリアごとにこんなに違うんだということを建築を通して知ることができるお祭りをつくりたいんです」と語ります。 特別公開は基本的に申込不要で無料、ガイドツアーは有料のものがほとんどとなっていますが、その料金の差は安全装備や食事代など実費によるもので、基本的な値段は同じです。 インディペンデントといっても利益を追求するものではなく、運営にかかる必要最低限のコストを参加費やクラウドファンディング、スポンサーからの支援、アーツカウンシル東京の助成金で賄っています。関わる人たちそれぞれの思いが積み重なって実現したイベントなのです。 ■戦前の百貨店から未完成の新施設まで ラインナップは戦前から残る百貨店建築から関東大震災後の看板建築、完成前の新しい施設まで、さまざまな年代や建築様式のものが集まります。 「東京のなかで古くもあり新しくもあり、戦災や震災から復興してきたエネルギーがありありと感じられる歩いて行ける範囲で一番多様なエリアから始めることにしました。 また、今回実現したGinza Sony Parkの工事中の段階のガイドツアーは、通常ならまずあり得ないもの。お施主さんのものだけどまだ建設会社が管理している状態で、内容すら発表していないですから。参加施設にはお金を払っているわけではないし、ただでさえ直接的なメリットはないなか、今までにないことをやるという広い意味でのブランディングとして納得いただきました。巨大な企業だから新しいことができないのではなくて、むしろ柔軟にオープンするという行為を通して最先端の形、東京のすごさを見せていくということですね」 ■建築を取り巻く人に出会う ツアーでガイドしてくれるのは、基本的には設計者や入居企業の社員などその建物に携わる・使っている人。これは〈イケフェス大阪〉と共通する方針で、今回〈東京建築祭〉では初めてガイドのプロフィールも掲載しました。 建築自体を観るだけでなく、今までは可視化されていなかった建築を取り巻く人間が浮かび上がることが建築を公開する醍醐味だと倉方さんは言います。