埼玉定番“十万石まんじゅう”驚きの秘話続々 「うまい」と「うますぎる」の間に、最初もう一言あった 「饅頭」でなく「幔頭」と書く理由 背景に滝が映った「風が語りかける」のCM、テレビ埼玉の営業マンがバケツで必死
■足袋蔵を活用した本店 十万石ふくさやの行田本店は、行田を代表する店蔵だ。この建物は呉服商の山田清兵衛商店の店舗として1883(明治16)年に棟上げされ、足袋蔵にも使われた。1978年の改修で、壁面に平らな瓦を並べて貼り、瓦の継ぎ目に漆喰(しっくい)をかまぼこ型に盛り付けて塗る「なまこ壁」にした。2007年には国の有形文化財に登録された。 創業時は現在の本店の隣にあった呉服店の店蔵を活用していたが、開店後数年で西へ約80メートル離れた場所にあった店蔵に移転。重厚な造りの蔵で、こちらも元呉服店だった。当時では珍しく喫茶室も備えた店で、にぎわいを見せたが、1967年に火事で焼失。翌年から現在の本店の蔵を使っている。 社長の横田康介は「蔵は維持管理が大変だが、先代が蔵のイメージを大事にしていた」と語る。創業者の横田信三は地元出身で、歴史がある行田のまちに誇りを持っていた。足袋産業が衰退し、足袋蔵が取り壊される状況に危機感を感じ、再活用を決意したという。また、温度の変化が少ない蔵は和菓子などの商品管理にも向いている。
店蔵は2011年3月の東日本大震災にも持ちこたえたが、徐々に壁が崩れ、同年7月から改修工事を行い、翌年2月で完了した。