サインは「打て」 広島新庄・33歳新監督が強攻した理由 センバツ交流試合
2020年甲子園高校野球交流試合は第2日の11日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で行われ、広島新庄が天理(奈良)に4―2で勝利した。 【広島新庄-天理 熱戦の様子を写真特集で】 打席から三塁側の味方ベンチを見た広島新庄の7番・瀬尾は驚いた。「たぶんバント」と思っていたからだ。しかし、宇多村監督のサインは「打て」。新たなチームを象徴する作戦だった。 1点を追う四回。無死一塁で打席に入った。「信頼してくれてうれしかった」と瀬尾。2球で追い込まれたが「最低でも走者を進める」とバットを指1本短く持ち、外寄りの直球をコンパクトに引っ張った。一、二塁間を速いゴロで抜く右前打。続く賀谷が1球で送りバントを決めて1死二、三塁。適時内野安打と犠飛で逆転した。 瀬尾は「去年なら送りバントだったと思う」と言う。今年3月までチームを率いた74歳の迫田守昭さんは、小技を駆使した野球で一時代を築いた広島商出身。2016年夏の甲子園では6イニング連続バントで勝利したこともあった。コーチから昇格した33歳の宇多村監督も広島商出身でバントの大切さは熟知している。元々2番打者の瀬尾は小技も巧みで、二回には同じケースで投前バントを決めていた。 それでも、新指揮官が強攻したのには理由がある。就任以降、「全国で勝つには打力が必要」と打撃練習の割合を増やしてきた。これまでコーチとしても、選手と長い時間を過ごしてきただけに「瀬尾なら打てると思った」と宇多村監督。強打の天理に「1点ずつ取っていては苦しくなる」と、「攻める」と決めた。 安打11本のうち、8本は単打。外野の頭を越える打球はなく、仕掛けた送りバントも四つ全てが決まった。持ち味の「つなぐ野球」は継承しつつ、新たな引き出しを披露。甲子園で「ニュー新庄」が輝いた。【石川裕士】 ◇全16試合をライブ中継 ニュースサイト「毎日新聞」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/)と「Yahoo!JAPAN」が運営する「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)で展開する「センバツLIVE!」では、センバツ交流試合の全16試合をライブ中継します。センバツLIVE!は、パソコンやスマートフォンで、いつでもどこでも無料でお楽しみいただけます。勝負の裏側に迫った最新のニュースや写真特集など、試合の情報が盛りだくさんです。センバツ交流試合にどうぞご注目ください。