浮島丸遺族「韓国政府は79年間待ってきた遺族に名簿公開し真相究明すべき」
浮島遺族会のハン・ヨンヨン会長インタビュー
「日本から(浮島丸の)乗船者名簿を受け取ったというのに、韓国政府からはまだ何の連絡もない。79年間待ってきた。遺族たちに一日も早く名簿全体を公開しなければならない」 浮島遺族会のハン・ヨンヨン会長(82)は8日と9日のハンギョレとの電話インタビューで、もどかしい思いを何度も語った。79年ものあいだ乗船者名簿の存在を否定してきた日本政府が5日、浮島丸の乗船者名簿の一部を韓国外交部に渡したが、政府からはまだ何の連絡もないという。「外交部から聞いたところによると、個人情報保護のため乗船者名簿全体は日本政府が公開を拒否したという。遺族が自ら調べろということだが、政府にきちんと真相を究明する意志があるのか聞きたい」 ハン会長の父親のハン・ソクヒさんは1945年1月、日本の青森に強制動員された。敗戦した日本は、多くの朝鮮人強制動員被害者を釜山(プサン)港に送還するとして、海軍の輸送船「浮島丸」に乗せた。1945年8月22日、青森港を出発した浮島丸は、釜山港ではなく京都の舞鶴港に向かった。8月24日、そこで大きな爆発が起き、船が沈没。乗っていた多くの朝鮮人が命を落とした。 当時3歳だったハン会長は、1970年代から父親の遺体を捜し、事件の真相を究明するためにあらゆることをしてきた。1991年、浮島丸被害者遺族の中で初めて日本政府を相手に被害賠償民事訴訟も起こしたが、日本の司法部は政府の責任を認めなかった。 ハン会長は、日本が今回公開した乗船者名簿の一部だけでなく、名簿全体を早急に公開すべきだと強調した。「日本が75種の名簿のうち19種だけを送ったというが、残りはいつ公開するか分からない。79年間待ってきたのに、100年は待てというのか。父を(連れて行って)こき使って命を奪ったことも無念なのに、79年ぶりに公開したのが名簿の全部ではなく一部だとはあきれる」 乗船者名簿の入手は始まりに過ぎず、真相究明と遺骨の発掘や返還など、残った課題は以前として多い。ハン会長は真相究明のために何もしなかった韓国政府の代わりに、2012年5月には自費でスキューバダイバー2人を連れて日本港湾庁の許可を得て浮島丸の沈没現場の海中を1週間にわたり調査した。「遺品と遺骨が沈没現場の3メートルの干潟の下に埋まっていることを確認した。早く引き揚げ、日本の東京の祐天寺に保管されている犠牲者の遺骨275柱も故国に戻れるようにしなければならない」 両国政府いずれも事件の調査を公式に行わなかったため、犠牲者の規模からして疑問だらけだ。ハン会長は「日本政府は乗船者が3700人だと発表したが、私たちが調査したところによると、1万2千人で、釜山追悼協会の調査では8千人だった。沈没の原因(をめぐる主張)も食い違っている。日本は米国の機雷のためだというが、生きて帰ってきた町の人は確かに船内で爆発があったと言っていた」と伝えた。 真相究明のためには、政府レベルの努力がカギとなる。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と外交部長官などに数多くの嘆願書を送ったというハン会長は、「大統領とその周辺の人々が最近言っている話を聞くと開いた口が塞がらない。キム・ムンス労働部長官の言うように日帝時代(日本の植民地時代)に私たちが日本人だったとすれば、日本政府が遺族に援護金(軍人や軍属などに与えるお金)を支給すべきではないかと聞きたい」と述べた。 パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )