【解説】能登地方で相次ぐ地震 地下の「流体」…断層の“潤滑油” 今後、津波の可能性は
日テレNEWS
5日発生した石川・能登地方を震源とする地震は、どのようなものだったのか。今回の地震の特徴、地震が相次ぐ理由などについて、地震学が専門で能登半島の地震活動について研究している東京工業大学の中島淳一教授と共にお伝えします。
■今回は震源“浅い” 2020年ごろから急激に地震が増え…
中島芽生アナウンサー 「珠洲市では、5日午後2時42分ごろに震度6強、午後9時58分ごろには震度5強という非常に強い揺れが続いています。今回の地震にどういった特徴があるのでしょうか?」 東京工業大学 中島淳一教授 「能登半島の西部では、2007年にマグニチュード6.9の『能登半島地震』が発生しました。能登半島で今回、地震が発生した場所は、地震活動が比較的少ない場所でした。ただ、2020年の後半から急激に地震活動が活発になり、今回の地震はその一連の地震活動の1つとして発生したと考えられます」 中島アナウンサー 「震源に関しては、どのような特徴があるのでしょうか?」 中島教授 「大きな特徴は、震源が10~15キロと非常に浅いことです」
中島アナウンサー 「能登地方で2015年から今月3日までに発生した震度1以上の地震をまとめると、発生した場所は能登半島の先端に密集しているのがわかります。2020年ごろから地震が急激に増えていて、去年は161回も観測されました。去年6月には、今回と同じ珠洲市で震度6弱の揺れを観測しています。その翌日にも震度5強の揺れがありました。今回の地震と非常によく似ています」
■能登半島の下には広く「流体」が分布 断層の“潤滑油”の役割を…
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中島アナウンサー 「どうしてこの地域で地震が相次いでいるのか。その理由として、『流体』というものがキーワードになるということです」 中島教授 「最近の研究により、能登半島の地下には広く『流体』が分布していることがわかってきました。流体とは、“普通の水”をイメージしてもらうと良いと思います。この流体は、沈み込むプレートからしみ出てきます。地下深くから上昇してきて、地震を引き起こしていると考えられています」 中島アナウンサー 「なぜ、流体が上がってくると、地震につながるのでしょうか?」 中島教授 「流体が能登半島の地下にある断層のすきまに入り込むと、いわば“潤滑油”のような役割を果たし、地下の断層面をすべりやすくして地震を発生させます」 中島アナウンサー 「今回、強い揺れが、繰り返し起きています。地下ではどのような現象が起きているのでしょうか?」 中島教授 「能登半島の地下には、大小様々な断層が存在すると考えられています。その断層に下から上がってきた流体が入り込むことによって、大きな地震も含め活発な地震活動が生じています」 中島アナウンサー 「なぜ今回、震度6強という非常に大きな揺れにつながったのでしょうか?」 中島教授 「地震の規模がマグニチュード6.5と大きかったことと、震源の深さが12キロと浅かったことが要因となっています」 中島アナウンサー 「断層はどれくらい動いたと予測していますか?」 中島教授 「マグニチュード6.5ということは、地下でおおよそ10キロ四方の断層が一気にずれ動いたことになります。このマグニチュード6.5という地震は、日本列島で数多く発生する群発地震の中でも、非常に大きくまれな地震と言えます」