英BBC 富士山撮影スポットの幕設置は「日本の苦闘の表れ」も…効果は懐疑的 背景に円安&旅行ブーム
英BBCの東京特派員のシャイマー・カリル記者は21日、「日本、観光客抑止へ象徴的な富士山の眺望を遮る」と題した記事を同サイトに投稿。山梨県・富士河口湖町で人気になっている富士山の撮影スポットに黒幕が張られた件について紹介した。 【写真】コンビニの屋根越しの富士山を撮影する観光客ら ローソンの店舗の屋根越しに見える富士山と青空が格好の撮影スポットとして多くの外国人観光客らが訪れていたが、道路を徒歩で横断して交通の邪魔になったり、観光客によるごみ捨て、付近の違法駐車がおこなわれたりと多くの問題が発生した。事態を重くみた自治体の判断によって、撮影できないよう黒幕を張る工事がこの日、完了した。 カリル記者は、この“撮影スポット”に外国人観光客が押し寄せている状況を説明した上で「この黒幕は、信号無視やゴミのポイ捨てをする観光客によって自分たちの生活が妨げられているという地元の人々の声によって設置された」とつづった。 さらに「絵のように美しい富士河口湖町は、観光客の急増の影響を受けている。円安とパンデミック後の旅行ブームにより、3月と4月の日本への入国者数は過去最高の300万人を超えた」と円安とコロナ後の旅行ブームにより、日本が人気の旅行先になったという背景を解説。 続けて、この一連の対応を「幕の設置は苦肉の策であり、街並みや名所、特有の生活様式を守りながらも、これだけ多くの観光客を受け入れようとする日本の苦闘の表れでもある」と表現した。 カリル記者は「日本政府は4月下旬に幕を設置することを発表していたが、設置の1時間後、日本の中部に位置するこの田舎町はさらに注目を浴びることになった」とし、「作業員がポールを固定し、スクリーンを固定するためのワイヤーを吊り上げると、カメラに囲まれた。観光客もこの喧騒を写真に収めようと集まってきた」と混沌とした状況を記した。 しかし「もし、この幕が観光客を寄せ付けないためのものだとしたら、その効果は、まだない」と効果には懐疑的。その証拠に、「数日は効果があるかもしれない。でも、いつか誰かが穴を開けて写真を撮るでしょう」といったカザフスタン人観光客の声を紹介した。 さらにこんな観光客の声も。トロントから来たという男性は「富士山がよく見える別の店を見つけた」と言及。しかしその場所は明かさかったという。理由は「みんなにそこへ行ってほしくないんだ」としたコメントで締めくくった。