力投の原動力はライバルの存在 大分舞鶴のエース奥本 選抜高校野球
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に21世紀枠で初出場した大分舞鶴。19日の開幕試合に登場し、センバツ優勝経験もある浦和学院(埼玉)に敗れたものの最後まで食い下がった。エースの奥本翼投手(3年)は強力打線を相手に9奪三振の力投。成長の原動力は昨秋戦ったライバルからの刺激だった。 【大分舞鶴と浦和学院の熱戦を写真で】 4点リードされて迎えた七回2死一、三塁のピンチ。4番打者を遊飛に打ち取ると、味方の反撃を信じてベンチに下がった。この日は四、五回に計4点を失ったものの、それ以外はほぼ危なげない投球。「思ったより直球が通用する」と手応えをつかんだ。 大分舞鶴は県内有数の進学校。一般受験で入学した奥本投手は中学で華々しい実績があったわけではない。高校に入ってからも直球はほとんどが130キロ台半ば。注目される投手ではなかった。しかし、昨秋の九州大会1回戦で対戦し、引き分け再試合の末に敗れた大島(鹿児島)の大野稼頭央投手(3年)の存在が奥本投手を変えた。 大野投手は最速146キロの速球と鋭い変化球を操る今大会でも注目の左腕。「全国で戦うには自分もあのレベルにいかなくては」。衝撃を受けた奥本投手はこの冬、走り込みやスクワットで下半身を徹底的に鍛えた。体重は5キロ増。「下半身ができれば球威が上がる。制球もよくなる。もっといい投手になりたい」と自身を追い込み、甲子園での力投につなげた。 大野投手の存在は心強い励みでもあった。九州大会後も交流は続き、この日の試合前にもネット交流サービス(SNS)で「絶対勝てよ」とエールを送ってくれていた。勝てはしなかったが、一冬越えて成長した姿を見せることはできた。試合後、奥本投手は声を弾ませた。「大野君はめっちゃ、いい投手。(大会第5日に初戦を迎える大島の)相手の明秀日立(茨城)は打線が強力らしいけど、彼らしい強気の投球を見せてほしい」 自身も負けてはいられない。「直球や変化球を磨いて、絶対に甲子園に戻ってきます」。夏へ向けて更なる成長を誓った。【辻本知大】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。