ハッスルプレーで沸かせた梶谷がユニホームを脱ぐ

巨人・梶谷隆幸外野手（36）が現役引退の意向を固めたことが22日、分かった。近日中に記者会見が行われる。DeNA時代から俊足好打で中心選手として活躍し、2021年にフリーエージェント（FA）で巨人に移籍。度重なるけがを乗り越えてきたが、左膝の痛みは限界を迎えた。プロ通算18年で980安打、162盗塁をマークした韋駄天が、チームの全日程終了を待って決断を下した。 ガッツあふれるプレーで沸かせた梶谷が、グラウンドに別れを告げる。DeNAで14年、巨人で4年。今季限りで現役を引退することが関係者の話で分かった。 けがと戦い続けた野球人生だった。1988年世代として島根・開星高から2007年に高校生ドラフト3巡目で横浜（現DeNA）に入団。内野手から外野手に転向した14年に盗塁王（39個）に輝いた。右肩の手術などを乗り越え、リーグ2位の打率・323、19本塁打を記録した20年オフにFA宣言して4年総額8億円で巨人入りした。 ただ、移籍後も故障が続き、22年5月には左膝内側半月板縫合手術を受けた。育成契約を経て復帰した23年には102試合に出場し、今季は阪神との開幕戦（東京ドーム）に「3番・右翼」で先発出場。右中間へのダイビングキャッチと2ランでヒーローとなり、阿部監督へ初勝利をプレゼントした。 ところが左膝の古傷が再発し、5月に離脱。8月に2軍で実戦復帰しても痛みが完全に消えることはなく「いろんな方向から治療やトレーニングもやってきたけど、よくなってきていない。葛藤があるけど、今できる最善をやろうとしている」と話していた。 川崎市のジャイアンツ球場でのリハビリは一進一退。室内練習場で黙々とマシン打撃を行う姿は日常となり、「走るのが一番しんどい」と苦しみながらもランニングを繰り返した。「痛みと向き合いながら、試合で動ける体に持っていくしかない」とCS前に1軍の全体練習に参加したが、体は限界だった。 チームに水を差したくないという配慮から、21日にCS敗退が決まったのを受け、球団に正式に伝えた。プロ通算18年で980安打、162盗塁。記録以上に記憶に残るハッスルプレーは、ファンの心に残り続ける。