清宮幸太郎が覚醒、緻密な作戦も…「3年目の新庄剛志は何が変わった?」岩本勉が語る“新庄野球”の正体「実は野村克也監督の色違いなんです」
思わず頭を抱えた…初陣のあるプレー
22年3月25日、BIGBOSSの初陣となるソフトバンク戦を解説していた岩本氏は、思わず頭を抱えたという。開幕投手の重責を担ったソフトバンク先発の千賀滉大(現・メッツ)は、立ち上がりから制球が定まらず苦しんでいた。ボールが手につかないような状態に対して、ファイターズの先頭打者、今川優馬は3ボールからボール球に手を出して凡打し、笑顔でベンチに戻ってきた。 「このまま打席に立っていれば四球を出すのが90%以上というアップアップの状態。2球連続ストライクを投げられる確率なんて10%未満でしょう。相手にとっては“待て”のサインが一番嫌なのに、ファイターズはどんどんバットを振って千賀を立ち直らせてしまった。何じゃこの野球は? と思いました。でもそれが実は、新庄監督の狙いだった。責任は俺がとるから、と指示して3ボールからでもむやみにバット出させる習慣をつけさせていたんです」
「セコセコ野球」のトラップ
セオリーはひとまず無視。とにかく積極性を身につけさせた若い打者たちの潜在能力は少しずつ花開き、3年目の今季は一段高いレベルのバッティングを見せられるようになった。 「今シーズンはまるで違います。選手が状況を見て、3ボールから勝手に待つようになった。バットを出す癖が身についたうえで、この状況で相手バッテリーは何が一番嫌なのか、考えられるようになっている。選手たちが自分たちでそこに辿り着いたんです」 新庄監督が今シーズン掲げる「セコセコ野球」もその一つだ。エンドランやセーフティースクイズなどを多用してしぶとく1点をもぎ取るのだが、それができるようになったのも、最下位だった2年間に若い選手たちに一軍の舞台で経験を積ませたことが大きいという。
極秘で叩き込んだサインプレー
「セコセコ野球なんていう言葉は、新庄監督の隠れ蓑です。全然セコくなんかない。実際は作戦野球です。緻密なことを瞬時に理解できる選手がいないとできない作戦ばかり。1年目は見ていて『これは場面が違うとめちゃくちゃ嫌らしい作戦やな』と思うことがよくありました。 ただ、勝負の場である一軍の試合で試すことじゃない。そういうことは二軍の試合でやれ、という外野の声もあったと思います。でも今となればあのプレッシャーの中で経験させたことに意味があった。キャンプでも実は報道陣をシャットアウトして細かいサインプレーを練習させていました。全てのことが今に生きているのだと思います」
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