【ONE PIECE考察】海軍大将・黄猿が今後のキーマンに? 謎多き強敵が抱く正義と葛藤
※本記事は本誌最新話の内容に触れる部分があります。 『ONE PIECE』にて、大好評掲載中のエッグヘッド編。ベガパンクも登場したこのエピソードでは、再注目されている重要キャラがいる。それが海軍の三大将に名を連ねる、黄猿ことボルサリーノだ。 【写真】日本人形の老舗が作った『ONE PIECE』フィギュアが凄すぎる 大将は海軍の最高戦力であり、黄猿はそのなかでも謎が多い人物だった。しかしエッグヘッド編では、意外な一面をみせている。そこで今回は本作のキーマンである黄猿の今後や正体考察を、ワンピース研究家の神木健児氏に聞いた。 「黄猿は三大将の1人で、掴みどころがないものの、ただただ強い敵というイメージでした。しかしエッグヘッド編にて、過去にエッグヘッドでベガパンクやくま、ボニーと過ごした時期があったと明かされています。性格としては、躊躇なく海賊に攻撃するなど、どちらかといえば冷徹な雰囲気でしたよね。それがエッグヘッドでは、本当は親友を傷つけたくないと語ったり、過去の戦桃丸を可愛かったと懐かしんだりと、人間っぽさがみえてきました。物語が進むうちに、彼がキーマンになる気さえします。また黄猿の掲げる正義は『どっちつかずの正義』で、この意味もしっかりとはわかっていません。サカズキが掲げているのは『徹底的な正義』で、クザンは『だらけきった正義』。2人の正義は両極端で、最初は2人のどちらでもなく、間のような正義を掲げているという意味なのかなと思っていました。しかしエッグヘッド編を読んでからは、ベガパンクや戦桃丸の優しさ、くまの思想に共感する部分があり、海軍での立場との葛藤が黄猿にはあるのかなと感じましたよね。そう考えると『どっちつかずの正義』も、葛藤を表現しているのかもしれません」 黄猿の立場を考察するうえで、注目したい人物がいると神木氏は続ける。 「くまの過去編で描かれた黄猿のシーンでは、他にも気になった人物がいました。それがX・ドレークです。過去にエッグヘッドに来ていた黄猿ですが、一緒に来た部下のなかにドレークの姿がありました。あまり大人数で来ていた感じではないので、ドレークが黄猿の部下だった可能性は高いでしょう。ドレークは現在その行方はわかっていませんが、「SWORD(ソード)」の隊長を務めていた人物でもあります。2人が深い関係であったなら、もしかすると黄猿もSWORDと関係があるのかもしれません。SWORDは結構大きい組織だと感じます。そしてドレークの階級は、少将です。同じくSWORDの一員であるプリンス・グルスも少将で、SWORDの規模的にトップが少将なのは少し違和感があります。組織のトップには総司令官のような位置でもっと階級が高い人物が君臨していそうなので、そこが黄猿なのではないかと読者としては期待してしまいます」 ベガパンクや戦桃丸とは、確かな絆を築いていた黄猿。彼はここから、どのような行動にでるのか。 「ベガパンクを殺そうとする黄猿からは、葛藤を感じます。読者としては、この葛藤に賭けたいんですよね。海軍には属しているものの、黄猿は自分自身の正義を持っているように思います。今はベガパンクを殺そうとしていますけど、もう少しで限界がきそうですよね。私としては、その限界待ちです。今はボニーがサターン聖に捕まっていて、ピンチに陥っています。黄猿も倒れていますが、ルフィもヨボヨボで横たわっていました。一味もなんらかの力で動けない様子。ここで早速、黄猿が割って入ってボニーを助ける可能性すらありますよね。もしそうなれば、世界に思わぬショックを与えるでしょう。まだまだルフィにとっては敵という立場の黄猿ですが、過去編の笑顔をみていると、そろそろ彼自身の正義を表に出すときがきたのではないでしょうか。ニカの踊りをするシーンでは、黄猿も一緒になって踊っていました。黄猿もニカの存在を知っており、そしてエッグヘッドでその姿を目にしています。彼が海軍を裏切り希望に正義を託すなら、今なのではないでしょうか」 黄猿は海軍の最高戦力であり、エッグヘッドでもルフィと互角の戦いをみせた。今後の物語でも、ルフィの行く手を阻む高い壁になることは間違いないだろう。彼がベガパンクとの関係をどちらの方向に進ませるのか、今後の動向に注目だ。
青木圭介