「じゃがりこ」を世界に広げる “独特の食感”受け入れる若い世代に期待 江原信・カルビー社長
── 昨年、社長兼CEO(最高経営責任者)に就任する直前の2月に中期経営計画を出しました。 江原 カルビーの業績は2016年ごろから停滞していました。一方で、株式市場の期待はとても高く、現実との乖離(かいり)が広がり、「ここでリセットをしないと、次の一歩を踏み出せないのでは」と考えました。伊藤秀二前社長から中計を考えるよう言われ、22年6月ごろから検討を進めてきました。 出したのは「一旦、少しかがもう」というメッセージです。投資をしっかりとして、3年間でどのような成長を目指すのか、ということを発表しました。当時、株価は大きく下がりましたが、その後もIR(投資家向けの広報活動)などで丁寧に意図を説明しました。投資家からは「期待している」と言われるようになりました。 ── 23年4~12月期の連結最終(当期)利益は過去最高でした。 江原 多分に追い風が吹いているというところがあります。他の食品、例えばインスタントラーメンなどと比較すると、スナック菓子の価格は高いものではありません。物価全体が上がっている中で、我々も値上げをしていますが、需要は比較的堅調です。追い風の下、足元を見て、構造改革を進めることができています。 ■商品ごとに「見える化」 ── スナック菓子、シリアル食品の国内コア事業では、「量的拡大からの脱却」として商品数の見直しを進めると表明しています。 江原 1300という商品数(SKU)は食品メーカーの中でも非常に多いのですが、数を減らすということばかりが注目されてしまっています。他にも「ポテトチップス」などの商品群の利益は分かるが、各商品ごとの利益は見えていないという課題もありました。 新商品を出せば、一時的に売り上げは作れるのですが、最後は処分販売になる商品もかなりありました。また原料とその産地にこだわり、コストがかかり過ぎていたり、物流費がかかり過ぎていたりということも見えてきました。近く物流費も含め、「見える化」できるようになります。効果は大きく、すでに赤字になる商品は出さないようにしています。