米ディズニー映画「ライオン・キング：ムファサ」の日本語吹き替え版声優発表イベントに出席した渡辺謙（左）と尾上右近＝東京・品川区

俳優、渡辺謙（65）が21日、東京都内で行われた米映画「ライオン・キング：ムファサ」（12月20日公開）の日本語吹き替え版声優発表会に出席。ディズニー作品に初出演することが明かされた。主人公ムファサらを追い詰める冷酷なライオン、キロス役を「久々」というオーディションでゲット。この日は誕生日で、〝サプライズ〟で登場したムファサ役の歌舞伎俳優、尾上右近（32）から祝福された。 日本人俳優の〝キング〟がハマり役を演じる。巨大パネル後方から暗がりに登場した渡辺は「百獣の王」のような、たけだけしい表情。照明が明るくなると頰を緩めた。 「仰々しい出方ですみません。ディズニー作品はお呼びが掛からなかったけど、素晴らしい作品に参加させていただけてうれしいです」 今作は主人公のライオン・ムファサ（右近）と、彼の運命を変えるタカ（Travis　Japan・松田元太）の血のつながりを超えた〝兄弟〟の絆を描く物語。渡辺は彼らの群れと相対するキロスを演じ、迫力ある声のワンシーンが解禁された。 2003年の「ラスト　サムライ」以降、数々のハリウッド映画に出演してきたが、ディズニー作品は初めて。「『ダンボ』や『ピノキオ』などを子供たち（渡辺大、杏）に見せていた」と父の顔がチラリ。「（英語版で）キロス役のマッツ・ミケルセンがどう演じたのか興味を持ち、この役をやってみたくて久々にオーディションを受けた」と経緯を明かした。 イベントでは渡辺の誕生日を祝うべく、右近がサプライズ登場するはずだったが、ベテラン俳優は「裏でムサファに会った」とまさかのネタバレ。「サプライズなので…」と苦笑しながら姿を見せた右近に、「ごめん、先に言っちゃった」と平謝りして笑わせた。 口の中に書かれた「嘉」「例」の文字を見ると毎日が一粒万倍日になるといわれる「獅子舞　嘉例（カリー）」の獅子が登場すると、舞を披露する前に「もう（文字が）見えた」とドヤ顔。キロスをイメージした特製ケーキを贈られると、甘党らしく「おなかが空いてきた」と喜んだ。 思わぬハプニングもあり、盛り上がった晴れ舞台。「親子のつながりや友情など、根源的に人間が願っているものが詰め込まれた作品。どんなジェネレーションでも楽しんでいただける」と優しい声で呼びかけた。

◆・・・バリー・ジェンキンス監督（44）から「孤高の存在感と確かな演技力を兼ね備えた謙さん」と絶賛のコメントが届くと、渡辺は「買いかぶりだと思う」と謙遜。音楽を担当した世界的作曲家で俳優、リン＝マニュエル・ミランダ（44）とは、渡辺の出演舞台「王様と私」を観劇に訪れるなど親交があり、「歌がやたら面倒臭い。こんなにややこしい音楽を作るヤツだと思わなかった」と愛情たっぷりにイジっていた。