織田裕二、三上博史の恐怖演技も…90年代『世にも奇妙な物語』今なお語り継がれるトラウマ回
■ホラー映画『感染』の元ネタ!衝撃展開に鳥肌展開の「急患」
未知のウイルスによる恐怖を描いたのは、1991年放送の「急患」。ジャパニーズホラーの名匠・落合正幸監督による演出回であり、2004年の映画『感染』の元になった作品でもある。 主人公は、近藤真彦さんが演じる医者の七沢治郎で、ある晩の宿直中に、見たことのない症状の急患が運びこまれるというもの。 七沢は、佐野史郎さん演じる森忠幸医師とともに未知の症例を調べるが、「緑の液体を流して死ぬ」「死んでいるのに笑いかけてくる」といった事例に恐怖を覚える。そして患者が消え、謎の感染が広まり、院内の看護師が次々と緑の液体を垂れ流して死に、ついには森も患者の幻覚を見ながら死んでしまった。このときの佐野さんの演技がとにかく怖い。 七沢は自らの指を切り、赤い血を見て感染していないことを確認するも、死者が見えだし叫んでしまう。目が覚めるとそこは医務室。あの晩と同じように急患が運ばれ、緑の液体がないことに安堵したそのとき、顔が溶けた森が起き上がる。 次の瞬間、赤い血を確認した場面にリンクし、赤い血が流れていた手からは緑の液体が……。七沢はすでに感染していて幻覚を見ていたのだった。 全編を通して不穏な空気感が満ちていたこのエピソード。謎が一つも明かされずに終わるモヤモヤ感が、気持ち悪さを倍増させていた。
■避けられない無慈悲な結末にゾクゾク…「ロッカー」
1990年に放送された織田裕二さん主演の「ロッカー」も、後味が悪いトラウマエピソードだ。 織田さんが演じるのは産業スパイの悟。あるとき悟は、新型バイオセンサーの設計図を盗もうと、とある研究所に潜入したところ段田安則さん演じる研究員・佐口邦夫ともみ合いになり、彼を殺してしまう。 とっさに扉が開いていたロッカーに隠れた悟は、佐口の死体を見つけた警備員が警察を呼びに行った隙に逃げ出そうとするが、ロッカーが開かなくなってしまう。そしてすぐに警察が来て現場検証が始まる。 息を潜める悟の目に飛び込んできたのは、薄気味悪い笑みを浮かべてこちらを見る佐口の遺体。このときの段田さんの表情にゾクゾクしたという人も多いだろう。さらにロッカーの中には佐口の写真があり、そこが佐口のものだったのだと判明する。 警察が怪しみだした瞬間、業者が「廃棄処分のロッカーはこれか?」と乱入し、悟の入ったロッカーを運び出した。外に出られて安堵する悟だが、行き先はスクラップ工場。気づいて助けを求めるも声は届かず、無惨にもぺちゃんこにされてしまう。 だが、次の瞬間悟はロッカーの中で目覚めた。ほっとしたのも束の間、ロッカーはクレーンに持ち上げられスクラップ機にかけられる。先ほど見た夢と同様に必死で叫ぶも声は遮られ、今度こそ真上から潰されてしまった。 狭いロッカーと迫りくる重機、張り付いた笑顔で見つめる写真の佐口。一つ一つの描写が怖く、思わず汗ばんでしまうエピソードだった。