【日本株週間展望】続伸、春闘賃上げ期待-金利次第で投資対象循環か
(ブルームバーグ): 3月第2週(11-15日)の日本株は続伸する見込み。大幅な賃上げが国内の消費や景気回復につながるとの期待感が相場を押し上げそうだ。日米の金利動向次第で投資対象はハイテクや銀行など循環的に変化する可能性がある。
春闘の第1回回答集計結果が15日に明らかになる。日本労働組合総連合会(連合)の発表によると、労組側の賃上げ要求は昨年の4.49%から5.85%(4日時点)に上昇し、30年ぶりに5%を上回った。賃金と物価の好循環を確認したい日本銀行にとっては追い風で、株式市場では内需の明るい先行きを期待した買いが入りやすい。
週初の11日には昨年10-12月期の国内総生産(GDP)改定値も発表される。速報値では個人消費の低迷が響き、前期比0.1%減(年率0.4%減)となった。ただ、改定値に反映される同四半期の法人企業統計では設備投資が大幅に増え、2四半期連続で経済が縮小するテクニカルリセッション(景気後退)入りを回避するとの見方は強まっている。
米国では12日、金融政策に影響を及ぼす可能性がある2月の消費者物価指数(CPI)が発表予定だ。市場予想(中央値)では、エネルギーと食品を除くコア指数で前月比0.3%上昇と前月の0.4%から伸び率がやや鈍る見込み。
第1週の東証株価指数(TOPIX)は週間で0.6%高と6週続伸。日銀のマイナス金利政策が今月にも解除されるとの観測が強まる中、金利先高観から銀行株が買われ、株主還元を強化する大林組など建設株の上げが目立った一方、1カ月ぶりの円高が進んだことで自動車など輸出関連株が軟調。週初に史上初めて4万円の大台に乗せた日経平均株価も伸び悩んだ。
《市場関係者の見方》
証券ジャパン調査情報部の大谷正之部長
日本株は先物・オプションの特別清算値(SQ)算出を通過し、おおむねしっかりと推移するだろう。配当の再投資も需給面で支える。個人投資家の買いも継続し、底堅い動きになりそうだ。米国の経済指標で一喜一憂するだろうが、米長期金利が低下すればハイテク株に買いが入り、日経平均を押し上げる。金利が上昇したとしても銀行株に買いが入るとみる。春闘で賃上げが確認できれば、消費回復による好調な景気の楽観的シナリオを補強し、相場の下支えとなろう。