『マルス-ゼロの革命-』横田真悠の“地獄”と得た居場所 道枝駿佑が探す内通者候補は?
“ゼロ”こと美島零(道枝駿佑)がかつて掴んでいた國見(江口洋介)率いるクロッキー社の不正が明らかになった『マルス-ゼロの革命-』(テレビ朝日系)第3話。 【写真】“地獄”を見た杏花(横田真悠) “マルス”が次に臨んだ事件は、桜庭杏花(横田真悠)の父親が巻き込まれた地面師による不動産詐欺の未解決事件だ。さらにはこの事件には、クロッキー社の個人情報漏洩が関わっていた。そもそも“マルス”が1年前に活動停止に追い込まれたのも、このクロッキー社の不正について証拠を掴み動画を公開しようとしたところ、拉致され仲間を殺されたからだ。 地面師ら指名手配されている詐欺集団の映像が杏花に突然送られてきたのだが、それはあろうことか國見の仕業だった。側近の大城(戸塚純貴)にその意図を聞かれ「贖罪」と答えていた國見だが、ゼロの仲間を奪ってしまったことへの贖罪なのだろうか。 何はともあれこの動画に映り込んでいた情報から詐欺集団のアジトを突き止めると、そこには杏花にとって知りたくはなかった都合の悪い真実が見つかる。実は建設会社の部長をしていた彼女の父親は、ずっと狙っていた土地の地権者が見つからず頭を抱えていた中、地権者を名乗る偽物が現れ本人ではないと気づいていながらも、その契約に乗ったのだった。 自分の父親もこの事件の片棒を担いでいたことがわかり、100%の被害者ではないと知ってしまったものの、杏花はこの証拠データをゼロに託す。おっとりマイペースな杏花が「大人にとって都合がいいだけの社会」を脱却するために覚悟を決めた瞬間だった。この詐欺事件ではなく、アジトを不法占拠している証拠を掴み詐欺集団を警察に突き出すゼロのシナリオは秀逸だった。 杏花にとって本当の地獄の始まりはここからだ。彼女の葛藤もつゆ知らず、父親は「お前のせいで俺は全てを失った」とお門違いに逆ギレするし、離婚届を置いて出て行ったきりの母親は電話番号まで変えており音信不通。泣き喚いて怒り散らかしたいのは杏花の方だろうし、さすがにこの両親の自己保身ぶりはあんまりだ。あの両親からよくもあんなに真っ直ぐピュアな杏花が育ったものだと、その奇跡に驚くほどだ。 そんな彼女にとって今や唯一とも言える居場所は、部室に行けばいつも通り変わらない時間が流れる“マルス”だ。“アイコン”こと逢沢渾一(板垣李光人)もこれまでずっといじめられ一人ぼっちだった学校生活を振り返り、自分の居場所が当たり前にある“マルス”の何気ない部室風景に思わず涙ぐみ、その騒がしさにも「ほっこりする」とこぼしていた。それぞれのメンバーにとってこの“マルス”がかけがえのない場所にどんどん育っていっている。 そうなってくるとますます無視できないのが、このメンバーの中にゼロの仲間を奪った國見への内通者がいるという信じ難い事実だ。そんなこと考え難いし、考えたくもない。しかしその候補者を寄せ集め組織されたのが“マルス”なわけだが、今話でこの内通者が杏花である可能性はかなり低くなったと思われる。杏花はクロッキー社の個人情報漏洩による被害者であり、あくまでクロッキー社に関わる事件関係者として“マルス”メンバーに選ばれたのではないだろうか。 第4話では、「この国の行く先を左右する大きなプロジェクト」の前夜祭だと國見が豪語していた記者会見に乗り込んだゼロとアイコン。今度こそゼロは何も奪われずにクロッキー社の悪事を暴くことができるのだろうか。
佳香(かこ)