パリへの道 松本信歩、TOEIC825点〝頭脳プレー〟光る文武両道スイマー 女子200個混で初代表/競泳
競泳の女子200メートル個人メドレーでパリ五輪代表入りを決めた松本信歩(しほ、22)=東京ドームS=がインタビューに応じ、初出場となる五輪への思いを語った。両親が東大卒で自身も簿記2級や、宅地建物取引士(宅建)などの資格を持つ文武両道のスイマー。早大4年で挑む大舞台は、準決勝で自己ベスト(2分9秒90)を更新し、世界のトップ8入りを目指す。【取材構成・角かずみ】 3月のパリ五輪代表選考会。200メートル個人メドレー決勝で、2コースの松本は体力が限界に近づく中、ライバルたちの動きを〝凝視〟した。強化してきたラスト15メートル。最後は粘りに粘り、2分9秒90の自己ベストで2位に滑り込んだ。 「(決勝のコースは)呼吸で見える位置を取りたいと思っていた。運もありますけど(準決勝の結果)2レーンが取れたので、最後(他の選手が)見えたまま泳げた。もう本当に完璧なコース取りができた」 自由形が右呼吸の松本にとって、ラスト50メートルでライバルを見ながら泳ぐには、3か2コースに位置するのがベストだった。過去にラスト15メートルで競り負けることもあったが、〝頭脳プレー〟で最高の位置取りをし、大橋悠依(イトマン東進)に続く2位で、自身初の五輪切符を手にした。 文武両道の道をひた走る。両親は東大卒で、弟の恭太郎は東大3年で水泳部。自身は早大スポーツ科学部でスポーツビジネスを学び、1年時の成績が優秀だったことから、各学部成績上位2人しかもらえない大隈記念奨学金を2年時に大学から給付された。選考会前に、ゼミの担当だった間野義之教授から休学も勧められたが「他のことをやりながらの方が自分的には逆に水泳に集中できる」と、勉学と競技の両立を選択した。 スポーツ以外の勉強もしたいという思いから、毎年、資格試験に挑戦している。早大1年時にはTOEIC825点、簿記2級、2年時はスペイン語検定5級と宅建を取得した。3年時に受験した行政書士はわずかに得点が足りなかったため、パリ五輪後に時間が合えば再トライする考えだ。 学校以外での勉強は、電車の中や練習後の数時間で集中する。煮詰まれば3歳から中学1年まで習っていたピアノを弾き、気分を変える。さまざまなことに挑戦して水泳から離れる時間も作ることで、練習に全力で向かうのが〝松本流〟だ。