何を変えようとしている?自民憲法草案(8)財政 健全性確保を明記
第24回参院選の争点のひとつが、憲法改正です。現行の憲法をどのように変えようと考えられているのでしょうか。そこで、2012年に自民党がまとめた「日本国憲法改正草案」を基に、テーマ別に現憲法との違いを取り上げていきます。 第8回は、第7章「財政」の変更点をみていきます。
「財政の健全性確保」を新設
草案は、「財政の基本原則」として、「財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない」という新しい条文を設けています。 「予算」については、草案では新たに、「毎会計年度中において、予算を補正するための予算案を提出することができる」のほか、会計年度開始前に議決を得られる見込みがないときは「暫定期間に係る予算案を提出しなければならない」と記述。国会の議決を経て、毎会計年度予算は「翌年度以降の年度においても支出することができる」を書き加えています。 現行の第89条は、宗教的活動の組織もしくは団体への「公金その他の公の財産」の支出を禁じ、利用に供してはならない、と書いていますが、草案は、「社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない(草案20条3項のただし書き)」に「規定する場合を除く」という文を追加しています。 収入支出の決算は、現行90条の「国会に提出しなければならない」を、草案は「両議院に提出し、その承認を受けなければならない」に変更。「検査報告の内容を予算案に反映させ、国会に対し、その結果について報告しなければならない」という条文を新設しています。