かつて球場で国歌独唱も務めた長男がソフトバンク小久保監督を祝福 「ゼリーが喉を通らないと言っていた」侍ジャパン監督時の心労
就任1年目でリーグ優勝を果たしたソフトバンク小久保裕紀監督(52)の長男で会社経営の小久保直紀さん(27)が、父に祝福のメッセージを送った。「野球の夢を見るぐらい勝利への重圧を抱えての1年間だったと思います。まだ先はあるけど、いったんは一区切りでお疲れ様です」といたわった。【#OTTOホークス優勝特集】 ■貴重2ショット! 小久保監督と長男・直紀さんが顔寄せ合う【写真】 1997年生まれの直紀さんは偉大な父の背中を追い、現在は情報通信系の会社を経営している。幼少期からの記憶をたどった。小学校高学年の頃、百道浜の公園で父とキャッチボールをしていると周りの子どもたちが集まり、あっという間にギャラリーができたという。サービス精神が旺盛な父は「直紀、悪いけど先に帰っといてくれ」と言い残し、子どもたちと順番にキャッチボールを始めた。直紀さんにとっては「俺としてくれや」と思いながら帰宅した苦い記憶。礼儀には厳しく、時にはげんこつも飛んできた。一方、自分で決めたことは尊重してくれた。近くにソフトボールチームしかなく、サッカーチームに入りたいと言うと「お前がやりたいなら」と認めてくれた。その結果、野球ではなく直紀さんはサッカー少年として育った。 両親の離婚で離れて住むことになったが、親子の交流は続いた。直紀さんは歌手を目指し、米国で音楽を学んだ。日本に戻り、2017年には父が数々の栄光を刻んだヤフオクドーム(現みずほペイペイドーム)で国歌独唱の大役も務めた。親交のあるプロ野球選手には登場曲の楽曲も提供。22年まで活動したが、「自分の人生の一区切り」と進路を変え、知人らからノウハウを教わり、25歳で起業した。 2017年、ヤフオクドームで国歌独唱した小久保直紀さん 人生の転機では父にも相談してきた。やはり「やりたいことをやりなさい」という答えだった。アドバイスがほしい時には自宅にも押しかけた。読書家で勉強家の父からマネジメントの話も聞いた。「野球と会社で違うところもあるけどヒントも多い。そこは生かしてやっていきたい」。また父の仕事仲間、つまり一流のプロ野球選手たちともいまだに交流がある。「いろんなことを経験してきた人たちのアドバイスは重みが違う」と感謝する。2年目で部下を5人抱える。心配していた父からも「頑張っているね」とねぎらいの言葉をもらった。 福岡に在住しており、仕事の合間、できる限りみずほペイペイドームに足を運んだ。「現役時代はある意味、父のファンで父を応援し、結果を気にしていた。監督の今はチームの勝敗ばかりが気になります」。侍ジャパンの監督を務めていた時の心労は知っているつもりだ。「日本中からバッシングを受け、こっちには見せなかったけど、ゼリーが喉を通らないと言っていた」。幸い、今季は開幕から好調をキープし、リードを保ったままゴールテープを切った。 「大人になれば分かってくるけど、自分の力で功績を残せるのはすごいこと。目指しているのは父親です。父にはホークスの歴史に名を残すように長くやってもらいたい。自分も人との支え合いを大事にして、会社を成長させていきたい。野球と同じで人のために動けるいいチームにしていきたいですね」 父の大きな背中を追いかけ、異なる道を歩み始めたばかり。ささやかな目標と掲げたのは父にゴルフで勝つことだ。今年1月にラウンドした時は「圧倒的に負け」と笑った。「オフにゴルフをやろう。今度は勝ちたい」と話していたら、「俺、1年もやってないから」と父はちょっぴり〝守り〟の発言をしたという。オフの親子対決を心待ちに直紀さんはCS、日本シリーズも全力で父を応援していく。(小畑大悟) 【おすすめ記事 優勝特集】 女性関係の不祥事で大批判…山川穂高を支えた妻の一言、小久保監督の長男&長女が父に贈る言葉、秋山幸二さんが語る小久保采配など西スポWEB OTTO!が総力取材したとっておき優勝記事がたっぷりです。 ▼下記の関連記事から▼
西日本新聞社