センバツ2024 決勝 報徳準V、悔しさ夏へ(その1) 全力プレー「よく頑張った」 /兵庫
第96回選抜高校野球大会に出場している報徳学園は31日、決勝で健大高崎(群馬)と対戦して2―3で敗れ、22年ぶり3回目の優勝は今年もかなわなかった。大会屈指の高い投手力と伝統の堅守で強豪校のひしめくブロックを駆け上がってきたが、あと一歩届かなかった。三塁側スタンドを埋めた大観衆は全力プレーで戦い抜いた選手たちに向け、メガホンや手を打ち鳴らして健闘をたたえた。【稲田佳代、中田博維、野原寛史、澤俊太郎】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 昨年に続いてたどりついたセンバツ決勝の大舞台。三塁側スタンドは報徳学園を応援する観客で埋まり、試合前から熱気に包まれた。徳田拓朗捕手(3年)の父和也さん(45)は「去年の悔しい思いを取り返すつもりでプレーしてほしい」と期待を込めた。 試合は一回表、安井康起選手(3年)の適時打などで2点先制。父昭人さん(54)は「先取点がほしいと願っていたのでよく打ってくれた」とたたえた。先発の今朝丸(けさまる)裕喜投手(3年)は三回までに3点を失い逆転されたが、その後は踏ん張って強打の健大高崎に追加点を許さない。野手も遊撃手の橋本友樹選手(2年)が再三の好守備を見せるなど、堅い守りで支えた。 一進一退の攻防が続き、1点差のまま終盤へ。西村大和選手(3年)の父憲二さん(54)は「1点差は自分たちのペースと思っているはず」と行方を見守った。九回、名物応援の「アゲアゲホイホイ」が鳴り響く中、2死二塁の好機を作ったが、後続が三振に倒れ試合終了。全力を尽くした選手に「よく頑張ったぞ」とかけ声や大きな拍手が送られた。 間木歩主将(3年)の父傑さん(46)は「悔しいだろうが、昨年から成長した姿を見せてくれた。息子にはお疲れ様と伝えたい」とねぎらった。 ……………………………………………………………………………………………………… ■熱球 ◇自慢の観察力で判断 操野拓真選手(3年) 控えの捕手としてメンバー入りし、初戦から三塁ランナーコーチを任された。決勝では一回2死一、二塁で安井康起選手(3年)が右翼線を抜く痛烈な適時二塁打を放った。外野手の肩の強さや捕球体勢を見抜き、「一塁走者も返せる」ととっさに判断。必死に腕を回した。相手の守備の乱れもあり、2点を先制した。 前の試合の動画や試合前練習で相手チームの全選手の肩の強さやシートノックでの送球の様子をつぶさに観察し、「全部頭に入れた上で判断している」と自信を見せる。4番を務める斎藤佑征選手(同)も「迷いがないので思い切り走れる」と信頼を寄せる。 本当は試合でマスクをかぶり、バットを振りたかった。それでも「一人一人に自分の仕事がある」と真摯(しんし)に役割に向き合ってきた。今回もあと一歩で届かなかったが、「優勝にかける執念はどのチームよりも強い。夏は必ず頂点をとる」と次を見据えた。【稲田佳代、澤俊太郎】 〔播磨・姫路版〕