オリックス・山本由伸のピッチングの凄み【伊原春樹の「野球の真髄」】
5月6日現在、5試合に投げ、防御率1.38ながらわずか1勝。しかし、今の投球を続けていけば勝ち星は伸びるはずだ/写真=佐藤真一
そのピッチングに目を奪われた。5月2日、ロッテ戦(京セラドーム)で先発したオリックスの山本由伸だ。都城高から2017年、ドラフト4位で入団。今季が3年目、弱冠20歳の右腕だ。昨季はリリーフとして54試合に登板、4勝2敗1セーブ、32ホールドをマーク。力強いピッチングに昨年から注目はしていた。 今季はリリーフから先発へ転向。金子弌大、西勇輝が他チームへ移籍し、先発陣に穴が開いたが、そこに食い込みたいという気持ちが強かったからだという。1年目も先発をしていたが、最長5イニング。スタミナ面に不安もあったのだろうが、トレーニングのたまものなのか、そのあたりはまったく心配はないピッチングを続けている。やみくもに投げるだけではないのが見て取れるのだ。考えながらうまく打たせてアウトを重ね、イニングを稼いでいる。 本人も「負けない投手」を理想像に挙げていて、そのために「“打たれない”。そして“疲れない”。打たれないから負けないし、球数も増えないから疲れない。これが理想の先発投手です」と語っているそうだが、まさにそれを体現しているように思う。ここまで5試合で平均7、8イニングと球数を抑えながら、きっちりと責任を果たしている。 2日の試合でも勢いのあるボールを次々と投げ込んでいた。150キロを超えるストレートは球速以上に打者が速いと感じているように見える。例えば菅野智之(巨人)の・・・
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週刊ベースボール