「そんなうまい話が…」マイナー競技選手も戸惑う好条件提示 働くのは年1~2カ月、経費かかっても地方の中小企業が支える理由
知人から紹介され、21年に島、22年に小田切を採用。茨城県出身の島は植木屋で働きながら山岳スキーをしていた。長野市出身の小田切は佐久長聖高で全国高校駅伝に出場。大学卒業後、フルタイムで働いていた会社から転職した。 「スカイランニングはマイナー中のマイナーで、選手が企業のサポートを受けている話は聞いたことがなかった。そんなうまい話があるのかと思った」と小田切。シーズン中は競技に専念できる好条件に戸惑うほどだった。
現在は各選手の専門分野を重視するが、県縦断駅伝には出場を求める。シーズン入り前後で海外にいる馬場と島は、駅伝のためにとんぼ返りする。 現役引退後も会社に残ってもらうことを前提に雇用した。仕事をする時期は限られるが、3人とも現場に出て舗装などの作業をする。「一緒に働くことで、自分がどういう人間か理解してもらえる」と馬場。それによって社内の応援の輪も広がる。
小田切は今年9月の世界選手権に出場する。馬場と島は2年後の冬季五輪出場を目指す。「地域の中小企業から五輪選手を出せるのは素晴らしいこと。選手の活躍で社員も喜び、地域も喜ぶ」。蔵谷会長は選手支援の意義を強調した。