“常勝軍団”復活へ…鹿島の「スタイル完成見えた」 Jトレンド適合で漂う“上昇への変化”【コラム】
遮二無二、勝利を奪いにいくスタイルが「鹿島らしい」
前半は主導権を握られた鹿島だが、横浜FMがハードスケジュールによる疲労からか、時間の経過とともに徐々にペースダウンしていったこともあり、先制点を奪われながらも得点者がFWとDFという全員攻撃で逆転勝利を挙げた。鹿島にとってこの勝利は、日本プロサッカーリーグの創立メンバーでありJリーグを、いや“J1リーグ”を牽引してきたライバルに競り勝ったという事実に加え、チームスタイルの完成に向けて、大きな一歩となったように思う。 シーズンも折り返しが近付いた現在、上位には黒田剛監督の下で短期間にチームスタイルが確立され、もはや成熟の域に達した台頭著しい町田、昨年王者で安定した力を誇る神戸、そして復権を目指すガンバ大阪が名を連ねる。そのなかで鹿島は守備力を全面に出して、相手にサッカーをさせないスタイルでスタートし、そこから素早く攻撃に転じてゴールを目指すサッカーからさらに進歩して、多くの時間で試合を支配するまでの形が出来上がりつつある。 なにより遮二無二、勝利を奪いにいくスタイルが鹿島らしい。近年、タイトルから遠ざかり、常勝チーム復活を掲げてきた鹿島だが、その目標を成し遂げるためのスタイルの完成が見えてきている。 [著者プロフィール] 徳原隆元(とくはら・たかもと)/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。80年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。
徳原隆元 / Takamoto Tokuhara