レギュラー１６年目に入った「ｔｅｎ．」のスタジオで笑顔の浅越ゴエ（カメラ・筒井　政也）

　コント、ピン芸、イベント司会など、関西でマルチに活躍する浅越ゴエ（５０）。読売テレビのニュース番組「かんさい情報ネットｔｅｎ．」（月～木曜・後４時４５分～、金曜・後３時５０分）の木曜コーナー「アナタの味方！　お役に立ちます！」では、２０１０年から視聴者の依頼に向き合う。「やっぱりサービス業。仕事のオファーをくれた方に喜んでいただくのが一番理想」という芸の信念の裏には、会社員時代に培った貴重な経験があった。（筒井　政也） 　「お役立ち芸人」の看板が、ここまでしっくりくる人もいないだろう。「アナタの味方―」は、読売テレビ版「探偵！ナイトスクープ」（ＡＢＣ系）のような名物企画。「役に立つのは気持ちいいもんですね。うまく行かなくても、やった甲斐がある、一区切り付けられる。前に進むため、背中を押すという面もある」 　１４年間も続くなかで苦労したのは「埋めたタイムカプセルを掘り当てて」という依頼。「何か所か行きましたが、勝率は半分以下。１０人なら１０人とも違う場所を指す。こうも証言が違うのかって思うと、裁判って難しい」と苦笑いする。一方の会心劇は「だだっ広い」須磨海岸で落とした指輪を見つけた時。「金属探知機を使って地図に印を付けた３つ目で。アイスの『ガリガリ君』は１００本食べても当たりが出なかったのに（笑い）」と、様々な依頼を楽しんでいる。 　番組は０９年からレギュラー。「当時、夕方のニュース番組に芸人さんが出る局ってなかったので、新鮮なワクワク感がありました」。大学４年時に芸人を志すが、プロレス好きで、日本テレビ・福沢朗アナウンサー＝現フリー＝に憧れて読売テレビの入社試験も受けた。「巡り巡って報道番組にいるのは何とも不思議…」。そう言いつつ“しっくりこないニュース”を読むキャスターのネタで０４年のピン芸ＮＯ１決定戦「Ｒ―１ぐらんぷり（現グランプリ）」を制した実績もある。「紙一重の優勝。ラッキーでしたが、僕の誇りですね」 　０１年に結成したコントユニット「ザ・プラン９」でも活動中。「吉本興業に入ってやりたかったことがコント。その場にいられるのは感慨深い」という一方で「一人でも、ユニットでも、偏らずにいろんな形にフィットしたい」と柔軟だ。 　芸歴は来年で３０年目。「途中でサラリーマンをやっているので、そこを外したら減るんです」。００年１月から約１年半、不動産会社の営業マンとして働いた。「何千万円というお金を動かす現場にいたのは、厳しくもいい経験でした」。上司からの「不動産を売ろうと思うな、お前を売れ」の言葉は、今も胸の奥に刻まれている。「浅越だから買いたい、と思ってもらえる。いかに信用されるか。『僕の芸を売る』―深みを知りました」。お役立ち芸人の原点だ。 　「主役、脇役に関わらず、お笑いの楽しい中にいられるのが幸せ」だが、やりたいことは山積みだ。番組企画に自身が依頼するなら何か。「声優をやったことがない。どんな緊張感で演技してるんだろう。読売さんに逆オファーしようかな」。２０年前のＶネタの再現も夢見る。「リアル感があって、見ていた人がクレームを言いたくなるぐらいの偽ニュース番組をやってみたい」。「お役立ち―」の独立番組も「ド深夜でも、早朝でもいいので」。果敢に今の“自分ゴエ”を目指していく。 　◆浅越　ゴエ（あさごえ・ごえ）１９７３年１２月２０日、岡山市生まれ。５０歳。立命大４年時の９５年、ＮＳＣ大阪校に１６期生として入学。会社員を経て０１年に「ザ・プラン９」を結成して芸人に復帰し、０４年「Ｒ―１ぐらんぷり」で第２代王者に輝く。０６年には当時５人の「プラン９」で、コンビ以外では史上唯一の「Ｍ―１グランプリ」決勝進出。ＭＢＳラジオ「サンデーライブ　ゴエでＳＨＯＷ！」（日曜・前１１時）、ラジオ大阪「グッドアフタヌーン！　ラジぐぅ」（木曜担当・前１１時）などレギュラー多数。既婚。 　〇…「ザ・プラン９」によるアートイベント「ザ・画廊９」が２１日、大阪・難波の「ＬＡＵＧＨ＆ＰＥＡＣＥ　ＡＲＴ　ＧＡＬＬＥＲＹ　ＯＳＡＫＡ」で始まった（１２月１日まで後１時～６時＝入場無料、火水曜休み）。メンバーが架空の現代アーティストにふんして作品を制作、展示。浅越はメガネ画家「ランドルト環太郎」として参加し、「筆をメガネに持ち替えて、キャンパスに押し当てて描きました」。定休日を除いて連日午後８時から、同所で没入型コントライブも開催する（有料）。