【オーストラリア】〔政治スポットライト〕日米豪、ミサイル防空網構築で協力
オーストラリアと日本、米国の3カ国は、ミサイルを含む防空網の構築で協力する。インド太平洋で勢力拡大を目指す中国を念頭にしたもので、3カ国はミサイル攻撃に対する防空情報の共有などを進める。一方、オーストラリアのコンロイ国防産業相やジェフリー国防副次官が訪米し、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の強化について米国の関係者と会談した。 米国を訪問した岸田文雄首相とバイデン大統領が10日(現地時間)、首脳会談後の共同宣言で3カ国の協力を明らかにした。今回の声明では具体策は示されなかったが、協力内容の一つに日本のオーストラリアでの長射程ミサイルの発射試験が含まれるようだ。 また、オーストラリアは米国との防空分野での協力に関し、誘導多連装ロケットシステム「GMLRS」の製造と調達を米防衛大手ロッキード・マーチンと契約。オーストラリアは米国から関連技術を吸収し、将来的にミサイル製造業を大規模に展開させる考え。 ■中国を孤立化 オーストラリアン・ファイナンシャル・レビューによれば、3カ国の防空網構築協力は、バイデン政権によるインド太平洋地域戦略の強化を示すもの。米国は、中国は日本やフィリピンの地域での孤立を狙っているが、防空網での協力などにより逆に中国が孤立するとしている。 米英豪は、オーカスの「第2の柱」とされる先端防衛技術の開発について、日本との開発協力を検討している。 ■国防産業の供給網強化で議論 コンロイ氏はワシントンで、キャンベル米国務副長官と会談した。国防産業のサプライチェーン(供給網)の強化や、太平洋島しょ国との安保協力などについて議論した。一方、ジェフリー氏は、インド太平洋安全保障担当のラトナー米国防次官補と会い、インド太平洋地域での協力について意見を交わした。