第94回選抜高校野球 選手支えるアナウンス 星稜「野球放送部」練習試合など /石川
<センバツ2022> ◇コロナで機会減も研さん、共に悲喜 第94回選抜高校野球大会に出場する星稜には、練習試合などで場内アナウンスを担当する、全国でも珍しい「野球放送部」がある。部には1~2年の女子生徒4人が所属し、選手たちの活躍を声で支える。コロナ禍で練習試合が減り、活躍の機会もなかなか得られないが、部員たちはより良いアナウンスを心がけ研さんを続ける。【深尾昭寛】 部に所属するのは、2年の川野莉里亜さんと多島美怜さん、1年の小原由紀乃さん、森愛加さんの4人。練習試合でアナウンスを分担する他、夏の石川大会などの公式戦でアナウンスを任されることもある。 川野さんは中学時代、野球放送部に所属していた姉の場内アナウンスを聞いた。グラウンドに響く声に「きれいで感動した。自分もアナウンスをしたいと思った」と語る。多島さんは小学生の頃、父から野球放送部の存在を教えてもらった。高校野球観戦が好きで、最後まで諦めずに戦い、あいさつなどにも気を配る星稜の野球に憧れ入部した。 4人は日々、自宅などで過去の試合などのスコアブックを見て、試合進行をイメージしながら選手交代やファウルボールへの注意喚起といったアナウンスをしたり、録音した自分の声を確認したりして練習に励む。 川野さんは初めて1年生大会の試合を担当した際、緊張で選手交代を言い間違えたことがあり、姉の助言を受けながら練習を積んできた。「練習通りに落ち着いて、間違えずに話せるようになった」と手応えを感じてきていただけに、コロナ禍でアナウンスの機会が減ったことにもどかしさを感じる。 多島さんも地道に練習し、親から「美怜の声じゃないみたい」と褒められるようになったが、本人は「まだまだ納得はしていない」と熱意を見せる。 場内アナウンスに打ち込んできた彼女たちにとっても、野球部員の新型コロナウイルス感染で星稜が昨夏の石川大会を途中辞退したことは自分のことのように悲しかった。新チームが「先輩たちの分も」と奮起してセンバツ出場を決めた姿に「同い年ながらすごい」(多島さん)と喜ぶ。 4人は14日のバレンタインデーに野球部にお菓子を贈り、激励した。受け取った野球部の佐々木優太主将(2年)は「甲子園での勝利で“お返し”します」と話し、選手たちの練習にも熱が入っている。